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【十勝産の価値~TPP重要5項目を考える】(4)でんぷん

  • 2013年12月7日 13時16分

JA士幌町のでんぷんを使った商品を持つ、一正蒲鉾の加藤工場長。「でんぷんのきめが細かく、練り製品に適した硬さと食感が出せる」という

練り物に必須…今も需給ギャップ
 水産練り製品業界2位の一正蒲鉾(本社・新潟市)の北海道工場が小樽市にある。工場内にはJA士幌町の馬鈴薯(ばれいしょ=ジャガイモ)でんぷんが20キロずつ入った袋が積んである。ちくわ、揚げ物など練り製品となる生地に混ぜるためだ。弾力があり食べやすい食感は、魚のすり身だけでは出せない。

 十勝産のでんぷんを使った商品は、「生食用ちくわ」「げんこつ玉きんぴら」など同工場の約40商品に及ぶ。年末年始の食卓を飾る、なるとも生産する同工場の加藤晴市工場長は「練り製品は日本の文化で、良き日本の伝統食品。おせちの時期が近い今、忙しい中でも心を込めて生産している」と胸を張る。

 独特の食感は、馬鈴薯でんぷんの他、小麦でんぷんなど多様なでんぷんを配合して生み出す。目的に応じてブレンドするが、同工場の年間の全でんぷん使用量250トンのうち、約半分が十勝産で占められる。同社では小麦でんぷんなど海外産も使うものの、加藤工場長は「良い品質の商品に仕上げるためにバランス良く混ぜる。どちらか一方だけでは理想とする食感が出せない」という。

 政府は、環太平洋連携協定(TPP)により、国内のでんぷん原料用作物(でん原)が100%なくなり、約220億円の影響が出ると試算する。でん原は十勝では畑作4品(小麦、豆類、ビート、ジャガイモ)の輪作体系の重要な位置を占めている。この輪作が崩れると、土壌のバランスが変わり、全作物の収量や品質に影響が波及する。

切り替えは無理
 食用や加工用ジャガイモでは収穫する機械に3、4人乗せて、出荷できるイモを厳選する人員が必要だ。「同じジャガイモでも妻と2人で農業をやっているうちは、でん原しかできない」。中札内村の50ヘクタールの畑作農家島次良己さん(48)は、でん原の専用品種「コナフブキ」を11ヘクタールで栽培する理由を強調する。食用や加工用にすれば、機械購入に1000万円近い投資も必要になる。「でん原からの切り替えは無理だ」と戸惑いを隠さない。

 道産馬鈴薯でんぷんは、清涼飲料やパンなどの異性化糖、輸液糖としての医療用のぶどう糖、麺類やインスタントラーメン、かたくり粉などと幅広い用途があり、需要量は年20万トン以上とされる。逆に、手間暇のかかる馬鈴薯でんぷんの生産量は作付け減少や不作により近年は16万~19万トン台で推移。TPPで生産者の作付け意欲が減退すれば需給のギャップがさらに広がる。

タピオカに懸念
 国産のでんぷん価格は「キャッサバ」を原料とするタピオカでんぷんの4倍。外国産でんぷんには583%の関税をかけて内外格差を縮め、関税は国内生産振興の予算にしている。ホクレンでん粉課の山本淳一課長は「欲しいと言われるところに安定供給できるよう、生産体制を整えなければ、馬鈴薯でんぷんに代わって使い勝手のいいタピオカでんぷんに需要が移ってしまう」と懸念する。

 日本の食文化をつくる練り製品業界など各方面から引き合いの多い馬鈴薯でんぷん。その必要性が、TPP論議によって根底から覆されようとしている。(関坂典生)

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