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【十勝産の価値~TPP重要5項目を考える】(3)牛乳・乳製品

  • 2013年12月6日 14時12分

業務用バターのシェアが全国約3割を占めるよつ葉乳業。品質には自信を持つ同社も、TPP交渉の行方を注視している(音更・よつ葉乳業十勝主管工場)

国内製品の支え…新たな市場開拓
 「関税が全分野で撤廃されれば、加工原料乳(バターや脱脂粉乳)など、いわゆる“日持ちする”品目が一番に影響を受けるのは間違いない」。よつ葉乳業(本社札幌)管理統括部総務広報グループの奥田学部長は、交渉が進む環太平洋連携協定(TPP)への困惑を隠さない。

「少ない品質差」
 具体的にどのような“変化”をもたらすのか。TPP政府対策本部(内閣官房)が描いたシナリオは次の通りだ。

 -関税が撤廃された場合、牛乳・乳製品全体で2900億円の生産減となる。乳製品は内外価格差が大きい一方で、品質の差は少ない。このため国産のほぼ全量が外国産に置き換わる。

 道内の2012年度生乳生産量は393万トンで、国内全体の51%を占める。うち牛乳など飲用向けは2割。残りは加工に回る。よつ葉乳業では、十勝主管工場(音更)を含む道内4工場で主力のバターと脱脂粉乳を生乳ベースで年間40万トンほど製造、生産量は全体の5割を超える。

 特にバターは業務用で全国3割ほどのシェアを持つが、バターの関税は330%(29.8%プラス1キロ当たり985円、関税割当分以外)。脱脂粉乳も同様、海外品との価格差が約3倍にもなる。

 同社は昨年にシンガポール、今年は台湾に駐在を派遣した。台湾では大手コンビニのセブンイレブンが売るソフトクリームの原料も供給、想定以上の売れ行きという。奥田部長は「国内の牛乳、乳製品市場は今後、それほどの伸びを期待できず、TPPに関係なく、守りの姿勢だけでは生き残っていけない。駐在はまだ情報収集の段階だが、将来を見据え、需要の創出を進めなければ」と力を込める。

大規模化さらに
 自らも酪農家であるJA忠類の多田智組合長も、将来への不安を募らせる。「ある学者が国の調査を基に出した家族労働1時間当たり所得は、酪農が畑作の半分以下」と指摘。その上で、「ヘルパーなどを使わない小規模の家族経営では休みが取りにくく、TPPを含め国際化が進めば、体力的にしんどくなる。今後も大規模化は進むだろう」とみる。

 幕別町で約500頭の牛を飼育する山田敏明さん(52)は2年前から、野菜の栽培にも取り組んでいる。今年はキャベツやカボチャなどの栽培を6ヘクタールに拡大、収入の5%を占めるまでになった。作業は酪農のスタッフを活用している。「乳価の大幅な増額は今後期待できない。国は6次産業化を推進しているが、『餅は餅屋』。それを実践できるのは一握りだ。収入を上げていくため、自分は1次産業で道を切り開いていくしかない」と山田さん。静かな口調の中に農政への不満がのぞく。

 メーカーも酪農家も、将来に不安を抱きながらの模索が続いている。(佐藤いづみ)

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