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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】壁を越えて~女性たちと就業環境(6)

  • 2013年11月29日 14時43分

子育て女性の支援事業に携わるメンバーの相談に乗る吉田理事長(左から2人目)ら(同NPO事務所で)

働きたいおんなたちのネットワーク
「役立ちたい」思い実現

 JR京都駅から南へ電車で約20分。宇治駅前から世界遺産・平等院の方向へ延びる宇治市内の商店街の一角に、女性たちの就労支援事業に取り組むNPO法人「働きたいおんなたちのネットワーク」の事務所がある。

 同NPO理事長の吉田秀子さん(63)は昔ながらの商店街を歩きながら、「銭湯や八百屋さん、理容店など商店街はある意味、コミュニティービジネス。女性ができることを仕事にしようと考えると、コミュニティービジネスが最適。だから、ここに事務所を置いている」と話した。

幅広い取り組み
 同NPOは2000年5月に設立。まだ育児休暇もない時代、結婚や妊娠・出産、子育てを経て公務員を勤め上げた吉田さんと、現・副理事長で管理栄養士の切明友子さんが出会い、「社会に役立ちたいと思う女性は多いのに、活躍の場がないのはおかしい」と意気投合した。

 設立14年目を迎え、現在は理事や会員らを調整役に、他の団体・個人と連携しながら20~60代の女性約80人が活動する。就労希望の女性の相談から、ワークシェアリングによる仕事の提供、高齢者や障害者の居場所づくりまで事業は幅広い。同NPO自体も女性の働く場になっている。昨年は大震災被災地の宮城県気仙沼大島で、小物制作の工房開設も支援した。

 「メンバーや就労したい女性の相談に乗り、一人ひとりがやりたいこと、やれることを一つずつ編み上げるように取り組んできたら、こうなった」と吉田さん。ガーデニングの資格を生かしたいという女性がいれば、講座の開設を支援し、子育てが一段落して短時間勤務を望む女性には、相談事業のワークシェアリングを紹介するという具合だ。

 現在、理事を務める木村郁子さん(43)は、離職から8年のブランクを経て働こうと考えたとき、「自分の状況では働けないと思った」。職を探そうにも、保育園に子供を預けられず、面接さえ受けられなかったからだ。

独自事業を模索
 そんな中、同NPOで、新生児のいる家庭を訪問する仕事(市の委託事業)のシェアを受けた。「子育て経験こそキャリアになると聞いて驚いた。確かに、1人で子育てする母親の気持ちには共感できる」と、今は週に3~5日、20時間ほど働いている。

 こうした取り組みが評価されてきた同NPOだが、課題もある。事業の大半が行政からの委託や補助金を得る形のため、期間が終わると事業存続が難しくなることだ。

 このため、一定の採算性と継続性を確保できる独自事業の構築が求められている。吉田さんは「働く権利は誰にでもある。暮らしに近い小さなコミュニティーで助け合えば、結婚や妊娠・出産、育児、介護と切れ目なく“壁”が現れる女性一人ひとりに合わせたビジネスも、生き方を尊重した働き方もつくれるはず」と話す。(井上朋一)

<働きたいおんなたちのネットワーク>

 事業は(1)高齢者や障害者に活動場所を提供するカフェ事業(2)資格や技術を持つ女性講師のサポート(3)離職した女性への起業・就業支援(4)子育て中の親と子供への場所提供-など。2004年に京都府から「KYOのあけぼの賞(団体)」、06年には内閣府から「女性のチャレンジ支援賞(同)」、08年には京都府子育て賞(地域貢献)を受けている。




フォーラムで活動について紹介する大洲さん(10月、日本ワーキングママ協会提供)

東京ワーキングママ大学
「リアルな交流」目指す

 働きたい女性を、女性たち自ら支援する取り組みは他にもある。都内で来年秋のプレ開校を目指す実践重視のビジネススクール、その名も「東京ワーキングママ大学」。子育ても仕事もきちんとしたいママたちを後押ししようと、日本ワーキングママ協会(東京)が準備を進めている。

 同協会の代表理事を務める大洲早生李(さおり)さん(34)は「バーチャルでなく、リアルな交流の場が必要と感じた」とスクール開設の動機を語る。

 大手電機メーカーの広報宣伝部門で働いていた大洲さんは、東京に単身赴任中の2008年に双子を妊娠。仕事を続けることに迷いはなく、会社の制度も整っていた。しかし、「双子を抱えての単身赴任は非現実的」と家族の理解を得られず、断腸の思いで退職を選んだ。

 09年12月に発表された内閣府の統計で、「結婚しても必ずしも子供を持つ必要はない」と考える20代女性が6割を超えた。大洲さんはこれに衝撃を受け、3人目を出産する直前の11年2月、働くママのためのポータルサイト「キラきゃりママ」を立ち上げ、情報発信を始めた。

 活動を通し、「キャリア志向の強い母親はまだマイノリティー。迷っている人が多くいることが分かった」。女性たちが仕事と家庭の両立に悩み、企業は女性の活用に悩んでいる現状も感じた。

 同協会のメンバーは、働く母親や今後子供を持つだろうプレママら、東京や名古屋に住む12人が中心。いずれも「プロボノ」(職業上持っている知識・スキルを生かしたボランティア活動)で携わる。10月に都内で開いたフォーラムには、新潟や福井なども含めて200人が参加した。

 同スクールでは「ママプレナーコース」(3カ月)などを設け、外部講師を招いたキャリア論などの講座を展開する予定。目指すは「子育てをしながら、しなやかに幸せに働ける社会の実現」だ。(澤村真理子)



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