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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】壁を越えて~女性たちと就業環境(5)

  • 2013年11月28日 14時44分

受講希望者を対象にしたリカレント教育課程の説明会。教職員が参加し、一人ひとりの相談に応じている(16日、日本女子大)

日本女子大リカレント教育課程
1年間 学んで再就職へ

 「(設計と)畑違いの分野へ飛び込むなら、もう今しかない。バイトは(雇用を)いつ切られるか分からない。不安はあるけど、だからこそ受講を考えてみたい」

自身の向上に
 結婚や妊娠・出産、子育て、介護などさまざまな事情で離職した女性の再就職に向け、1年間の教育プログラムを提供する日本女子大学(東京)の「リカレント教育課程」。今月16日、同大での説明会に参加した都内在住の女性(41)はこう話した。

 都内の大学を卒業後、住宅メーカーに就職したが結婚で退職。現在は小6と小3の2女を育てながら、これまでの経験も生かして設計補助などのバイトをしている。長女の中学受験が迫ったのを機に、教育費の捻出もあり、フルタイムの職を求め始めた。

 バイトの求人は多いものの、「時給の枠を抜け出せずに自分の時間を切り売りするようなもの」。女性は「人の心や気持ちに寄り添うソフト的な仕事に就くことが、自分自身の向上にもつながると思う。本当にしたいのは何なのか、よく考えたい」と説明会の会場を後にした。

 同大のリカレント教育課程は、文科省の委託事業として2007年度に開始。補助金が切れた10年度以降も「再就職支援に向けた教育も女子大としての使命」(高頭麻子生涯学習センター所長)として継続し、国内では草分け的な存在になっている。

 4、9月と年2回の入学があり、1年間(2学期)で必修の英語や情報技術(IT)リテラシーなどを含む14科目28単位を修得すると、修了証や履修証明が得られる。

希望者9割就職
 開始以降、今春入学までに計282人が門をたたき、このうち30、40代が計76.6%と4分の3以上、そして同大以外の大学出身者が約6割を占める。これまでの修了者のうち、就職希望者の約9割が正社員や非正規社員(フルタイム、パート含む)などとして就職を決め、一部、大学院へ進む人もいるという。

 同大の本西友成生涯学習課長は「本学の出身者や主婦に限らず、多くの女性たちが40歳を節目に自分の人生や仕事を振り返り、悩んでいるようだ」とする。

 4月から受講する剣持由佳さん(43)=東京在住=も、悩む女性の一人だった。結婚・出産を機に20代半ばで離職。子供が高校生と小学校高学年になり、「今後10年はまだ働けると思ったら、きちんと仕事をしたかった」。

 離職後も得意の英語力を磨き、翻訳のボランティアにも取り組んだ。将来像は漠然としていたが、同課程での履修などを通じ、「本気で就職したいと気持ちが変わった」という。発展途上国の子供を支援するNGO(非政府組織)の職に応募し、「受講で自分を見つめ直す時間が持てた。世界を広げたい」と未来を思い描いている。(井上朋一)



日本女子大生涯学習センター 高頭麻子所長(文学部教授)
「思い込み」から解放必要

 生涯学習の一環として始まった本大学のリカレント教育課程だが、文科省の補助が終わり、大学の独自事業に移行する際、学内では相当な議論があった。結果的に大学のトップレベルで決断があり、女子大であることの根幹に関わることから継続を決めた。

 正直これまで、受講生集めの入り口もカリキュラム作りも、再就職に向けた出口でも、ずっと自転車操業の状態。ただ、その中で時代の変化やニーズをくみ取り、受講生への支援内容やカリキュラムの見直しを随時行ってきた。

 私は副所長を経て昨年から所長を務めているが、これまでこの課程に携わって感じるのは企業も社会も男性も、そして女性でさえも思い込みがあることだ。女性は結婚や妊娠・出産、子育て、介護など家庭を守る担い手で、そのため、それぞれの節目で離職が当たり前という思い込みだ。

 3年間の育休などが議論されているが、男性でも女性でも、3年も職場を離れたら仕事の勘を取り戻すのはとても大変。一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援がないと、女性は仕事を続けられず、当然、再就職も難しくなる。

 そもそも、少子高齢化を背景として、社会システムや経済の状況が変化しているのに、全ての人の意識が追いついていない。働く幸せとは、人間関係の中で新たな自分を発見することでもある。私たち一人ひとりがこれまでの思い込みから解放されないことには、働く喜びを享受できる社会は実現できないのではないかと思っている。

<日本女子大学のリカレント教育課程>

 カリキュラムは英語やIT、キャリアマネジメントの他、企業会計、簿記などの実践的科目や資格取得に向けた準備講座も用意している。講師は同大の教員に加え、外部からも会計士らの専門家を招く。受講は4年制大学の卒業と就業経験が条件で、年齢不問。受講料は入学金を含めて総額25万円。




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