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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】壁を越えて~女性たちと就業環境(3)

  • 2013年11月25日 13時16分

仕事前、託児所で保育士に子供を預ける兎澤さん(右)。保育士も社員で、繁忙期には工場内で作業を手伝うことも

カミテ
社内全体で育児応援

 「おはようございます。きょうも(息子を)お願いします」。秋田県小坂町にある金型製作・プレス加工業の「カミテ」(上手康弘社長)。社員の兎澤(とざわ)沙耶香さん(31)は毎朝、1歳の次男と一緒に出社する。最初に向かう場所は、工場横にある自社開設の託児所「カミテチャイルドハウス」。2人の保育士が出迎え、「仕事、頑張ってね」と兎澤さんを送り出す。

無料の託児所
 「乳児を預かってくれる保育所は少なく、あっても費用が高い。でも、会社の託児所は無料で、近くにいられるので安心」と兎澤さん。作業中の授乳や、子供の調子が悪いときに自ら病院に連れていくなどの対応も可能。工場内での作業も手掛ける兎澤さんは「他の社員から『仕事はいいから早く行ってあげて』とせかされるほど」と話し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が取れた今の職場に満足げだ。

 同社が託児所を設けたのは2000年。当時、総務課長だった女性が2人目の子供を妊娠し、会社側に「育児で働き続けられない」と相談したのがきっかけだった。社内で子供の誕生が相次いだ時期で、「少数精鋭で育てた社員が辞めるのは社にとって痛手だった」(上手社長)。

 別棟の平屋で広さ100平方メートルの託児スペース。社員として保育士を雇用(3人)し、平日の午前8時から午後7時まで子供を預かる。対象は未就学児。現在は協力会社の従業員の子供を含めて3人だが、開設当初は10人という時期もあった。

 以後、同社は最長3年の育児休業や、社員に応じた短時間勤務などを次々と整備。育児を理由に退社する事例は無くなったという。

 一方、同社は以前から、1人の社員が複数の工程をこなす「多能職」の考え方を取り入れ、制度として定着させてきた。「顧客にとって大切なのは製品。自分の仕事だけ良ければ、ではいけない」(同)。各社員に金型製作やプレス加工、製品検査などを経験させ、チームワークも醸成。休業制度の拡充後、社員が育児や介護で休んでも迅速に対応できるようになり、負担を最小限にすることにつながっている。

介護休業に力
 現在の社員は35人で、うち女性は17人。「細やかな目配りでミスを防げる」との方針から、プレス作業に加わる女性社員も多い。男女間の協力意識も強く、兎澤さんも「社内全体で育児を応援してもらっている」と感じる。

 同社では介護休業の制度構築にも力を入れており、上手社長は「若い親たちには、育児の際に世話になった分、介護に従事する社員を支援できる思いやりに期待したい」と話す。人口減が進む地方の中小企業にとって、今や生き残り戦略としても働く環境づくりが欠かせない。「地元の優秀な人材が流出しないよう、対策を考えなくては社の存続に関わる」と、トップの危機感は強い。(深津慶太)

<カミテ>

 青森県に接する秋田県北東部の小坂町に1988年創業。地元からの誘致で上手製作所(東京)の生産拠点として設立された。社長自ら年3~4回、社員と個人面談し、妊婦通院など細かな休業制度の整備に取り組む。2008年の「子どもと家族を応援する日本」内閣総理大臣表彰などを受賞している。




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