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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】農の現場から~本別・井原牧場の場合(4)

  • 2013年9月17日 15時01分

牛舎内で弟の克知さんと打ち合わせする宏和さん(左、金野和彦撮影)

農業生産法人化
ビジョン持つ「経営者」に
倍以上に拡大

 井原牧場の牛舎は一般的な「つなぎ飼い」型。中央に延びる約70メートルの通路の両側に、約90頭の搾乳牛が整然と並んでつながれている。30年近く前に建て、頭数に合わせて増築を重ねてきた。

 「弟と一緒にやるなら規模拡大しか選択肢はない」。経営者の宏和さん(37)は近々、この牛舎を更新し、牛の頭数を増やすことを考えている。省力化が可能で大規模経営に適した放し飼い型の「フリーストール」だ。町内ではまだ少ない牛舎で、目標とする搾乳頭数は200頭と今の倍以上。資金調達が必要なことから、昨年12月に牧場を農業生産法人にした。

社会的責任も
 当初は法人化するかどうか迷っていた。当面100頭前後の経営なら、個人の家族経営でもよかった。法人になると、対外的な信用度が上がり融資限度額は増えるが、社会的責任も増す。飼料会社との取引は名刺交換だけでは済まず、会社間の契約になる。家計と経営も「丼勘定」というわけにはいかない。

 「卵か先か、ニワトリが先かの話だった」。法人化の決断を、宏和さんはこう例える。頭数や設備などを少しずつ整えながら、フリーストール牛舎を目指すのか。それとも、牛舎と牛への先行投資で売り上げを伸ばし、その上で営農環境を充実させるのか。

 「うちは3つのかまど。子供時代のように、手伝って小遣いをもらうというわけにはいかない」と母のまゆみさん(63)。弟家族の生活のためにも、就業条件をはっきりさせ、社会保険など福利厚生を充実させる必要があった。

一世一代の勝負
 他の農業と同じく、酪農もまた、環太平洋連携協定(TPP)参加の動向などで先行きは不透明だ。対抗策として大規模化や6次産業化が頭に浮かぶ。だが、どこまで頭数を増やせば生き残れるのか、正直言って見当が付かない。宏和さんは「備えのために頭数を増やし、土台をつくっておく必要がある」と考える。

 仕事を終えて家に戻ると、牛舎の図面を広げ、使いやすいレイアウトに頭をひねる。200頭規模のフリーストールには、施設と牛の購入費で約2億円という大きな投資が必要。「どこかでやらないといけない。一世一代の大勝負」と口元を引き締めた。

 父が言っていた。「農家は労働者であり、技術者であり、経営者である」と。今はその言葉の意味がよく分かる。「これから大事になるのは経営者だと思う。目先の損得ではなく、将来のビジョンを持ち、どういう形で経営して家族や従業員を守っていくか。『農家のおじさん』じゃなく、経営者にならないといけない」。時代の変化を肌で感じている。(安田義教)



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