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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】農の現場から~本別・井原牧場の場合(3)

  • 2013年9月16日 13時19分

子牛に与えるミルクを運ぶ和巳さん(左)と理恵さん(金野和彦撮影)

酪農支える嫁たち
365日 朝夕の力仕事に励む

 酪農家の朝は早い。宏和さんの妻の和巳(かずみ)さん(36)と、克知さんの妻の理恵さん(33)は搾乳のため、毎日午前5時前には牛舎にいる。

 牛の寝床に敷く麦わらを入れ替え、子牛にミルクを与えた後、父の伸治さん、克則さんと4人で2時間半から3時間かけて約90頭の乳を搾る。これが朝夕の1日2回、365日続く。

 「はい、絞るよ」。理恵さんが牛が驚かないよう声を掛け、その横にしゃがんだ。乳頭をタオルで丁寧に拭き、機械を装着すると、「シューッ」という音とともに白い液体が管を通る。

 重さ10キロ近くある搾乳機を手に移動しながら、装着や搾乳後の消毒などで立ったり座ったりの作業。「屈伸運動の繰り返しだから膝が痛い。膝をかばうと、腰にくる」と和巳さん。結婚前の介護職も力仕事だったが、質が違った。牛に足を踏まれ、蹴られる危険とも隣り合わせだ。

体壊さぬよう
 機械化が進んだとはいえ、酪農の現場に女性の労働力を必要とする農家は多い。ヘルパー制度はあっても、1人当たり1日約2万5000円という料金は頻繁に使える額ではない。労働と家事に拘束され、自由な時間は限られる。

 嫁2人と同じく、母のまゆみさん(63)も非農家の出身だ。生まれ育った大阪で都市銀行に勤めていたときに、テレビで本別の嫁探しを知った。「農家に嫁に来たのではなく、旦那さんの職業が農業だっただけ」。最初は慣れない仕事につらくて家を飛び出したことがあったが、夫の支えもあって続けてきた。

 機械化しても頭数が増えた分、昔より楽になったとは言えないと思う。「(嫁の)2人には体を壊さないようにしてほしい。頑張って働いて規模拡大が軌道に乗れば従業員を雇えるし、仕事に欲が出てくれば、もっと面白くなる」と後ろから働く姿を見守る。

仕事に喜びも
 家族内で役割分担をしっかり決めたことから、以前より仕事と家庭のめりはりができた。最初は牛が全て同じに見えたという和巳さん、理恵さんも、今は1頭ずつ特徴をつかんで飼育に当たる。「仕事が早く終わったり、乳量が増えて数字に表れたりするとうれしい」(和巳さん)と、やりがいも感じる。希望としては、もう少し休みが欲しい。「年1回でも家族旅行に行ければ」と2人は顔を見合わせた。

 それでも、もし自分の娘が酪農家に嫁ぐと言ったら、反対するかもしれない。2人は「苦労するのが分かるから。休みがあっても大変かな」と少し複雑な表情だ。「サラリーマンの家庭でも、しんどいところはしんどい。結局は相手次第じゃない?」。まゆみさんの言葉に、2人はうなずいた。(安田義教)



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