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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】農の現場から~本別・井原牧場の場合(1)

  • 2013年9月14日 14時31分

3世帯で酪農を営む井原家。後列右から宏和さん、和巳さん、伸治さん、優樹菜ちゃん、まゆみさん、理恵さん、克知さん。前列右から來実さん、悠聖君、愛結さん(金野和彦撮影)

3世帯で家族経営協定
責任明確化 意欲も喚起

 「週末は雨の予報だ」

 「その前に牧草は片付けたいな」

 夕方の搾乳作業前に行う日課のミーティング。伸治さんと長男宏和さんの会話に、次男の克知さんら他の家族も耳を傾ける。手作りのコーヒー牛乳を飲みながら、雑談になり、子供や趣味に話題が移ることもある。「さぁ、始めるか」。一服を終えた宏和さんが声を掛けると、みんな立ち上がり、持ち場へ向かった。

 井原牧場がある美蘭別地区は町東部の農村地帯。標高は本別市街より200メートル近く高く、晴れると日高山脈から雌阿寒岳まで見渡せる。伸治さんが先代の下で働き始めた1967年、周辺では農家十数戸のうち半数が乳牛を飼っていた。現在は離農などで6戸に減り、搾乳しているのは同牧場1戸だけだ。

なれ合い排除
 井原牧場は搾乳頭数約90頭で、町内の平均より多い。2010年1月に伸治さんから宏和さんに経営移譲があり、昨年末に法人化した。周りでは数少ない兄弟経営で、親子3世帯が同じ敷地内で暮らす。

 「家族の“なあなあ”の部分を無くしたい。ルール作りをしないか」

 家族経営協定は農家経営の改善に向けた家族間の取り決め(仕事内容や労働時間、報酬、育児・介護の分担など)で、井原家では宏和さんが提案した。20代の頃の農業視察でその存在を知り、農業改良普及センターにも勧められた。

 牧場には規模拡大の目標がある。両親と兄弟だけなら通用する常識が、非農家出身の妻たちには理解できないことがあった。家族同士で、なれ合いになってしまう部分もある。経営主として、どの家族にも公平に接したい。6人がどう効率的、意欲的に働けるか。「それなら全員の役割分担をはっきりさせて、責任を持たせた方がいい」

 普及センターの担当者を交えて何度も話し合い、11年5月に協定を結んだ。宏和さんは餌作り、克知さんは搾乳と繁殖が主体で、和巳さん、理恵さんは搾乳補助と子牛の哺乳が担当。伸治さんは全体をカバーし、まゆみさんは家事や孫の保育所送迎という後方支援に回った。

話し合い理解
 資金面の利点などから管内では同協定を結ぶ農家が増えているが、経営目標の下で家族が協定項目を話し合い、作り上げていく例は決して多くはない。

 井原牧場でも、全てが協定通り進んでいるわけではない。夏場は休日目標を達成できず、妻からは「休みが欲しい」との声も。それでもミーティングなどを通じて以前より話し合う回数は増え、農作業全般に理解が進んだことで、妻たちの参画意識も高まった。

 3世帯の環境だけに意思疎通はより重要で、「当たり前」で済ましていたことをあえて明文化した。「互いの家族の事情を守りながら、酪農という一つの職業をみんなでやっていくため」と宏和さんは話す。

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 大規模化や多角化、担い手育成、パートナー探しなど、十勝では基幹の農業も労働や就業をめぐる環境変化に直面している。家族経営協定の下、酪農を営む十勝井原牧場(本別町、井原宏和社長)の姿を通して、農業現場の働き方を考える。(安田義教)



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