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【TPPから見る参院選 十勝の課題】(3)医療

2013年07月13日 12時58分

患者の間には、TPP参加で経済格差による医療格差が生じることへの懸念が広がる(十勝管内の病院で、塩原真撮影)

防げるか?貧富の差
社会保障の在り方問う

 携行する酸素ボンベを車の助手席に置き、鼻に伸びたチューブを外す。10歩も歩かず運転席に回ると、既に息切れで苦しそうな状態に。腰を下ろした沼田神志(こうし)さん(80)=音更在住=は、再びチューブを鼻に入れ、呼吸が整うまでしばらく目を閉じた。

 長年肺気腫とぜんそくを患い、昨年10月から酸素ボンベを常用し始めた。他の合併症もあって何度も入退院を繰り返し、最も多い時には月数十万円の医療費が掛かることもあった。

 沼田さんは「国民皆保険だからこそ私の経済レベルでも適切な医療を受けられる。もしTPPで混合診療が解禁されたら、医療は富裕層だけのものになりかねない」と懸念。参院選については「私の声は届かないかもしれないが責任を持って1票を投じたい」と話す。

 十勝での参院選で最大の争点のTPPでは、農業、経済に限らず医療への影響についても、有権者の間に不安が広がる。参加で混合診療が解禁されると、先端・高度医療の健康保険への適用が縮小し、結果的に低所得者の受けられる医療の幅が狭められるからだ。

 一部に、難病患者のために混合診療を解禁し先端医療の早期利用を目指すべきだという主張があるものの、道難病連十勝支部の山根隆支部長は「先端医療や新薬の早期利用は、安全性確認のスピードアップなどによる保険適用の早期化の問題で、TPPとは別」とした上で、「貧富の差で医療を受けられない状況は避けるべきだ」と主張する。

 医療政策研究者はTPP参加の影響について「法制度上の課題から国民皆保険制度の崩壊はない」としつつも、「医薬品などの高騰を招き、地方こそ貧富の差が医療格差につながりかねない」と指摘。管内にある自治体病院の事務責任者の一人も「保険制度の崩壊はないと思うが、TPPで医療に商業意識が入り込むのは問題」と語る。

 冒頭の沼田さんは、政治自体の方向性に大きな疑問を感じている。「医療を含む社会保障政策の限界は、少子化が原因。なのに、なぜ少子化対策ではなく、グローバル化を進めるのか理解に苦しむ。今回の参院選は、政治が地に足を着けているかどうかを有権者が判断するための選挙だ」。(井上朋一、丹羽恭太)

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