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【TPPの先例は今 米韓FTA韓国リポート】(4)食の安全

2013年06月10日 14時09分

ソウル市内のスーパーで米国産チェリーを手にする買い物客(右)。国内では危険農薬の使用に対する不安も

給食の地元優先 解除
農薬規制に排除圧力も


 ソウル市内の市民団体「希望の食べ物ネットワーク」の事務所内。「とにかく、子供たちには安全な食べ物を食べてほしいのです」。代表の☆(褒の保が非)王柄(ペ・オクビョン)さん(56)とソウル市の広域親環境給食統合センター長の金亨根(キム・ヒョンクン)さん(49)は異口同音に訴える。

米の訴えを懸念
 韓国では身の回りで取れたものを食べることが健康に良いとの考えから、学校給食で地元食材を優先的に使う条例が、ソウル市など地方自治体で制定されていた。しかし、これが米国産食材の排除につながるとして、ISD条項で訴えられることを恐れた多くの自治体が条例改正に踏み切った。

 結局、「地場産品を使う」を「有機農産物を使用する」の表現に変え、米国産農産物の選択の余地も残す形になった。給食には“食育”という側面がある。米国が他国の教育にも口を出す、いわば内政干渉とも取れる行動に対する地元関係者の憤りは強い。「子供の健康を保つのはとても大事なことなのに…」。☆(褒の保が非)さんの表情が険しくなった。

 こうした事例は、地産地消の取り組みが積極的に進められている十勝にとっても人ごとではない。

 「(給食で)遺伝子組み換え作物(GMO)の使用を禁止する条例もある。これも差別に当たるとして、米国側から撤廃を求められないか心配です」。給食に米国産農産物が増えるのではという、金さんの懸念だ。

 米韓FTA(自由貿易協定)阻止国民運動本部によると、韓国は昨年1年で、米国から約784万トンのGMOを輸入しているが、米国が安全と言えば、韓国でチェックすることをせずに輸入するというルールがFTA(自由貿易協定)に盛り込まれた。金さんは「安全性に不安があるGMOは子供に悪影響を及ぼす可能性がある。GMO禁止条例は断固として守っていきたい」と語気を強めた。

さらに緩和要求
 食の安全という観点から気になることはまだある。同国民運動本部の朱帝俊(ジュ・ジェジュン)政策委員(42)は残留農薬の問題を指摘する。例えば、米国産チェリーにはメチルブロマイドと呼ばれる農薬を使っているという。人体に悪い影響があるとして韓国が法律で規制しようとした。しかし、この動きも米国側の圧力でストップし、逆に米国はさらなる緩和を求めている。「人体に影響があると分かっているのに緩和を求めるなんて」と朱さんはあきれ顔だ。

 その他、米国は韓国に対し、米国産牛肉の輸入条件である生後30カ月未満の撤廃を要求している。日本でも今年1月、20カ月以下から30カ月以下に引き上げられたが、環太平洋連携協定(TPP)参加により、さらなる緩和を狙ってくることも考えられる。

 「生産者や消費者など市民が一丸となって戦っていく姿勢が重要」。☆(褒の保が非)さんが言うように、十勝や日本でも一人ひとりがTPP参加による影響を考え、行動を起こしていく。そのことがわれわれの生活を守ることにもつながる。(津田恭平)

<ISD条項>
 米韓FTAに盛り込まれ、法律や条例によって企業の利益が害されたときに相手国を訴えることができる制度。TPPでも同種の条項が盛り込まれる見通し。

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