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【TPPの先例は今 米韓FTA韓国リポート】(3)自動車産業

2013年06月08日 14時20分

ひっきりなしに自動車が行き交うソウル市内の道路。自動車部品業界はFTAを歓迎する

エコ補助 導入に遅れ
部品メーカーは輸出増


 自動車のクラクションが鳴り響くソウル市中心街。片側4車線の道路にはひっきりなしに自動車やバスが行き交う。日本と同様に韓国も、世界有数の車社会だ。自国メーカーの現代(ヒュンダイ)や起亜(キア)の自動車も数多く目に入る。

 「自動車部品業界にとって、米韓FTA(自由貿易協定)は大きな追い風」と笑顔で語るのは、韓国の自動車部品メーカー約280社で構成する自動車産業協同組合の崔文碩(チェ・ムンソク)通商技術支援室長(46)。ハンドルやシフトレバーなどが並ぶ同組合の建物内は、業界発展を約束するかのように明るい。

 FTAで自動車の部品を韓国から米国に輸出する際、2.5%の関税が撤廃された。崔さんは「部品メーカーはコスト削減が進み、価格を0.1%下げることすら大変なのに、2.5%の関税がなくなったことは大きい」と歓迎する。

 FTA以上に米国のリーマンショックからの回復による好影響も見逃せない。同組合によると、2012年度の自動車部品の輸出額は前年度比6.6%伸びた。「今後、新たな輸出先の獲得も期待できる」。崔さんの笑顔がその言葉の信ぴょう性を裏付ける。

米の抗議が影響
 対照的に暗い表情を見せるのは、米韓FTA阻止国民運動本部の政策委員を務める朱帝俊(ジュ・ジェジュン)さん(42)。今年7月からの予定だった「低炭素車協力金制度」の導入時期が15年まで延期された。同制度はCO2排出量が少ない自動車の購入に対して補助金を交付し、排出量が多い自動車には負担金を課す。制度導入が遅れることに対し、朱さんは「全世界で環境問題に取り組んでいる中、米国の自動車業界の都合だけで韓国の国内政策に影響が出るなんて」と怒りをあらわにする。

 制度導入延期の背景にあるのは、CO2排出量が多い大型車生産中心の米国自動車業界。自分たちの自動車が売れなくなることを懸念してか、「米韓FTAが禁止する『貿易の技術的障害』に当たる可能性がある」と韓国側に抗議をしたのだ。

日本の「軽」も?
 日本はこれまでエコカー補助金などに取り組み、十勝の自動車購入者もその恩恵を受けた人は少なくない。しかし、環太平洋連携協定(TPP)に参加することで、米国自動車業界のために優遇措置の導入を断念せざるを得ない−。そんなケースが出てくる可能性もある。価格や維持費、税金などの面から人気の軽自動車も、「軽自動車の存在によって米国車が売れない」との身勝手な理由で軽規格の廃止を求められる懸念すら指摘されている。

 朱さんは「米国の圧力を恐れて創造性を持った政策が打ち出せないのが米韓FTAの一番の問題点」と強調する。果たして、日本がTPPに参加した場合、米国相手に屈することなく、政策を前に進めることができるだろうか。疑問符が付きまとう。(津田恭平)

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