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【TPP識者の視点】(3)近畿大准教授 有路昌彦氏

2013年05月15日 14時23分

<ありじ・まさひこ>
 1975年、福岡県生まれ。2002年、京都大大学院農学研究科生物資源経済学専攻博士課程修了。民間シンクタンクの役員などを経て、09年から現職。水産業の自由化やグローバル化について研究。経済協力開発機構(OECD)水産委員会の政府代表団員などの経験も持つ。

水産業 ハサップ導入に勝機
 現状のまま環太平洋連携協定(TPP)に参加すれば、水産業は衰退する。しかし一方では、5年間の暫定期間にしっかりとした準備を進めれば、成長するチャンスもある。

 TPPにおける米国の最大の狙いは、食品衛生管理の国際規格「HACCP(ハサップ)」認定を受けた食品しか流通させてはならないとすること。米国では法律により、全ての水産加工場でHACCPによる製造管理が義務付けられている。

暫定期間に投資を
 一方、日本の水産加工場でHACCP認定を受けているのはわずか十数%程度で、タイやインドネシアと比較しても10分の1くらい。輸出するのに衛生面でHACCP認定を要求されれば、日本はまったく太刀打ちできない。

 TPPには同質化条項が含まれており、全ての国が同じ条件で貿易をしましょうということになる。HACCP普及率100%を誇る米国が、普及率の低い諸外国に条件を合わせるとは思えない。

 ただ、日本の水産物の品質管理はもともと高いレベルにあり、優位性はある。認定を受けるには資金の他に、適正に管理するための教育やトレーニングも必要になってくる。暫定期間で徹底的に投資をし、諸外国と同等のレベルまで準備しなければならない。

 国内の水産業者保護のために、外国からの水産物の輸入量を割り当てるIQ制度も貿易上の障壁と見なされる可能性がある。日本で水産資源管理のために国内業者の漁獲量を制限しているにもかかわらず、IQ制度が廃止され、漁獲量の多い国から無制限に輸入すると国内業者は対抗できなくなる。

IQ制度も障壁に
 その他、外国人労働者の増加で、日本人労働者の賃金の低下や就労機会の喪失につながる可能性もある。

 ただ、人口減で縮小傾向の国内市場だけに目を向けていても水産業は衰退していくだけ。生き残るにはTPP参加、不参加にかかわらず、人口が増え、所得も上昇している海外に目を向ける以外に策はない。単に、TPPに反対するのでは何にもならない。HACCP認定工場を増やすなど、どうすれば日本の水産業が成長できるのかを考える必要がある。(津田恭平)

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