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【TPP識者の視点】(2)横浜国大名誉教授 萩原伸次郎氏

2013年05月14日 13時35分

はぎわら・しんじろう
 1947年京都市生まれ。76年に東大大学院経済学研究科博士課程修了。横浜国立大学の経済学部助教授、同教授、大学院国際社会科学研究科教授を経て、4月から現職。「TPP 第3の構造改革」(かもがわ出版)、「TPPと労働者、労働組合」(本の泉社)など著書多数。

労働 進む失業、低賃金化
 日本が環太平洋連携協定(TPP)に参加した場合の影響に関して農水省は、農業および関連産業の雇用が約340万人減少すると試算している。関税で守られている農業がアメリカの策略によって壊滅状態に陥れば、農民と関連業者の失業問題は避けられない。

 1994年にアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国間で発効された北米自由貿易協定(NAFTA)は、まさに北米版TPPと言える。メキシコからアメリカへの農産物の輸出が増加した一方で、多くのメキシコ農民が土地を手放した背景を見逃してはならない。

米企業が農地買う
 裏で利益を独占していたアメリカのアグリビジネス(農業関連大企業)が、自由化を機に農業分野に参入。メキシコの農場を買い取り、低賃金で雇った農民に栽培させた農産物を自国に輸出させていたのだ。

 結果、何百万人ものメキシコ農民が破産、ついには貧困に追い込まれた。メキシコの農業を壊滅させたこの協定は、TPP参加後の日本、強いて言えば農業王国十勝の将来を暗示しているように感じてならない。

 TPPは、労働者の賃金低下を招く恐れもある。多くの消費者は外国から安い農産物が市場に出回ることに肯定的だが、物価が下がれば労働者の暮らしは苦しくなる一方だ。賃金が労働者の生産力と結び付いているように、輸入が増えれば内需は落ち込み、生産力は低下する。結果としてそれが労働者の賃金切り下げにつながり、国民の所得格差がこれまで以上に広がることは明白である。

 競争が激化するのは何もモノだけではない。サービスの自由化・規制緩和に伴い、医療や金融、保険、流通、通信、建設など多岐にわたる分野の労働者の移動が活発化する。そうなれば、安い給料で働く外国人労働者が国内にあふれ出し、日本の低賃金化は一層進んでしまうだろう。

雇用確保し貿易を
 今の日本に必要なのは、雇用の確保を目指した貿易システムの構築だ。労働者の賃金水準を上昇させて内需を拡大し、国内に基盤を持つ企業の活動を積極的に支える政策を進めていかなければならない。(小縣大輝)

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