HOME 特集 【TPP識者の視点】(1)東大教授 賛否両論 
   | メール配信登録  twitter facebook |

特集

【TPP識者の視点】(1)東大教授 賛否両論 

2013年05月13日 15時37分

 7月下旬にも日本が交渉参加する環太平洋連携協定(TPP)について、十勝毎日新聞社TPP取材班は、どのような国民生活への影響が懸念されるのかを探るため、農業や医療、労働、輸出産業など全国の識者8人にインタビュー取材した。連載第1回として、いずれも東京大学大学院に在籍する、TPP推進論者の本間正義教授(農業・資源経済学専攻)と、TPP反対論者の鈴木宣弘教授(農学国際専攻)の賛否両論を、紙上対論の形で紹介する。

鈴木氏 米巨大企業の利益に
本間氏 生産性高め経済成長

鈴木宣弘氏

 TPP自体への認識で、反対の立場を取る鈴木教授は「アメリカなどの巨大企業が利益を拡大するための仕組み」と位置付ける。農業に加え、食の安全や医療、金融など21の交渉分野があることから、「日本のほとんどの人の暮らしや仕事がマイナスの影響を受けるので進めるべきではない」と主張する。半面、本間教授はTPPが貿易の活発化のみならず投資などの分野にも広がることから、「その本質は地球規模で資源を有効活用するなど生産性を高める点であり、画期的」と評価し、その上で「貿易と投資の活発化が日本の長期的な経済成長を促す」と推進の理由を説明する。

 日本の食料自給率はおよそ4割とされる中、TPPが食料の安全保障にどう影響するかについては、2人の見解が正面から対立した。

本間正義氏

 本間教授は、現状の生産体制が必ずしも有事との関連性がない点を踏まえ、スイスには、有事に際して完全自給に移行する制度があることを指摘。「貿易自由化と危機管理とは切り分けるべきだ。『食料を武器に』という戦略が破綻していることは共通の認識」とする。

 鈴木教授は食料が軍事、エネルギーと並ぶ国家存立の3本柱で、「自給率が低くても大丈夫という議論は世界の常識からすれば非常におかしい」と疑問視する。TPPで農業が壊滅的な打撃を受ければ、さらに自給率が下がり、「食料安全保障の観点からも国民にとって命の正念場になる」と語る。

 十勝農業について、2人は「十勝はどこにも元気と才覚がある」(本間教授)、「日本の中で一番先進的で強い農業」(鈴木教授)と高く評価する点で一致した。

 また、十勝農業の方向性について、本間教授は長期的な観点から国内での優位性ではなく、コストダウンや付加価値化により、国際化の中で競争力強化を図ることを提示。これに対し鈴木教授は、一定の関税を残した上で消費者との絆を強め、海外より高くても恒常的に買ってもらうネットワークづくりを訴えた。

観光特集(勝毎電子版)
十勝川白鳥大橋ライブカメラ
6~12時 12~18時
26日の十勝の天気
最高気温
15℃
最低気温
4℃
朝日デジタル

今、なぜ「かちまい」…
ご購読のお申し込み