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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】私はこう考える〜若者の就職(3)

2013年04月21日 15時17分

きくち・しんじ
 帯広市出身。帯広柏葉高校、日大文理学部卒。1982年に教職に就き、北海道伊達高等養護学校、中札内高等養護学校などで勤務。2008年から幕別高校教諭。54歳。

■幕別高校進路指導部長 菊地信二さん
自信持つため「生徒に伴走」
 最初に、今の生徒を取り巻く環境を考えたい。高校では受験で、学力のある生徒は帯広や、場合によっては道央・道南の進学校に集まる。全国で言えば優秀な生徒は首都圏に集まる。

 幕別高校では実は地元の幕別や近隣より、帯広から通う生徒が多く、約半分を占める。正直に言うと、全体として学力が高い方ではない。一方、全体的な傾向として、学力の格差がある場合、生徒の家庭の経済力にも格差が生じているケースが多いと言える。例えば東大入学者の家庭を分析すると、高収入家庭が多いという調査結果もある。

消去法で就職選ぶ
 ここで指摘したいのは、家庭の経済力と学力の相関関係もあるが、ほとんどの生徒が進学の希望を持っているのに、家庭の資力が進学を許さず、結果的に消去法で就職の道を選ぶ生徒が実に多いということだ。

 この指摘は家庭の責任追及をするためではない。むしろ、保護者たちは必死の思いで子供を育てている。保護者を取り巻く経済環境があまりに厳しくなって格差が生じ、学力にも大きく影響している構図なのだ。

 このような環境で育った生徒たちは、身近な大人、つまり保護者がどれだけ苦労して働いているかを見ている。非正規雇用の親もいれば、就労の困難さを抱える大人たちを目の当たりにしている生徒もいる。

 そういう環境が当たり前になると、就職の道を選ぶとき、働くことの意味を主体的に考えることができなくなる。中には、就労意欲が全くない生徒も出てしまう。だから、「生徒の意欲がないのが問題」などと自己責任論として若者の就労問題が語られることに、私は声を大にして「それは違う。問題は若者を取り巻く環境だ」と言いたい。

 実際、幕別高校ではこの2年、そうした就労意欲の低い生徒たちに仕事の意味や働く大人のことを伝え、導き、支援し、卒業後に進路が未決定の生徒を一人も出していない。

 つまり、生徒たちは、仮に家庭の資力の問題で進学をあきらめざるを得ないとしても、自分に対する自信を持つ方法を知れば、誰でも、どんな道へも進むことができる。例えば、資力はないがどうしても進学したい生徒に、私は新聞奨学生を勧める。私自身の新聞奨学生としての体験も伝えられるし、確かに大変だが不可能ではないからだ。

成功体験が重要
 生徒が自分に自信を持つには、大なり小なり成功体験を積めたかどうかがカギになる。だからこそ、高校の教育現場が生徒に正面から向き合って全面的にサポートし、信頼関係を持って成功体験を積んでもらうことが重要だ。私なりの言葉で言えば「生徒に伴走する」ことと考えている。

 社会・経済の構造がここ20年で大きく変化する中、就職に密接につながる高校教育の在り方もまた、変化が迫られていると思う。(井上朋一)



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