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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】私はこう考える〜若者の就職(1)

2013年04月19日 14時31分

こすぎ・れいこ
 神奈川県出身。東大文学部社会学科卒。独立行政法人労働政策研究・研修機構(東京)統括研究員を経て現職。厚生労働省の労働政策審議会委員。60歳。

■労働政策研究・研修機構特任フェロー 小杉 礼子さん
「多様な正社員」で不安解消を
 新規学卒者で、就職後3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が辞めるという「7・5・3(しちごさん)現象」は、随分前から言われてきた。今、この問題を語る人の、若いときもそうだったはずだ。

 大都市に住む30代に聞いた働き方の調査結果では、かなりの割合でキャリアが変化していると分かる。最初から同じ会社で正社員として働く人は、せいぜい2割。今が正社員という中にも、過去に無業か非正規だった人がいる。一つの会社でずっと働くのは、皆が通るコースではない。

多くが転職経験
 企業規模別の調査でも、1カ所で正社員を続ける人は大企業の男性でも5割ぐらい。29人以下の企業では2割で、女性の場合はもっと少なくなる。地方も全く同じとは限らないが、これは事実としてはっきりと言える。

 問題は、途中で正社員になった人が、また非正規や無業を繰り返すこと。相対的に転職先は、小さく労働環境の悪い企業が多い。いわゆる「ブラック企業」に近い所に行きがちで、辞めやすくてキャリアができない層がいるのも確か。より労働条件や人間関係が良い企業に入る例も当然あるが、確率としてそう言える。

 新規学卒時が大事なのは確かだが、そのタイミングを逃したからといって絶対駄目でもない。その中間地点だと思う。就活を途中でやめてしまうのも問題だが、悲観して「就活自殺」に追い込んでしまう風潮は行き過ぎだ。

 「7・5・3」を、経営者は若者や学校教育に問題があるとの文脈で、労働組合は労働環境が悪いと企業のブラック化の文脈で使う。どちらの言い分もそれなりに当たっている。背景には社会経済や産業構造の変化があり、より高い生産性を求められたり、製造業よりサービス業が増えたりする時代の流れがある。

 日本の雇用は新規学卒者採用が特徴で、ある意味で人をうまく育ててきた。一方で、タイミングを外してしまった人は看過されがちで、個人の努力に全て負っている。そうした人を制度的に後押しする政策が欠けていた。

試行錯誤の時期
 個人の側に立てば、若い頃は試行錯誤の時期で、それはキャリアの築き方として当然。課題は無業や不安定就業から抜け出しにくく、自立した生活、家族形成ができにくくなったこと。一時的な非正規雇用でも、技術が身に付き、評価されて就職ができるような労働市場をつくる方が大事だ。

 「多様な正社員」と言われる働き方も解決策になり得る。職務や地域を限定することで、賃金の上昇率は低いが無期雇用が保証されるなどの働き方。企業側は無理なく取り入れられ、働く側にもステップになる。社会保障など社会設計全体に関わるので簡単ではないが、そうした方法で正規と非正規の大きな格差や貧困に陥る不安を解消していくべきだ。(安田義教)

 ■   ■
 年間キャンペーン「とかち 新・働く考」の第2弾として3月に連載した「漂う若者」では、若年層の早期離職や非正規雇用などの現状をリポートした。これらの課題を、労働問題の研究者や学校現場の教諭らはどう捉えているのか。若者と就職について識者に聞いた。



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