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【TPPと十勝 主要団体に聞く】(5)帯広市医師会長・堀修司氏

2013年04月01日 16時21分

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命の格差生む競争疑問
 まず第一に、環太平洋連携協定(TPP)交渉では、国民全員が誰でもいつでも安心して適切な医療を受けられる国民皆保険制度を損ないかねないという懸念が強い。例えば、混合診療が解禁されれば、経済的に余裕のある富裕層は、医療費がかかる最新の高度医療を受けられる一方、貧困層は医療費を負担できず、お金がかかる医療を受けられないことが想定される。

 新薬についても、確かに現状は承認までに時間がかかりすぎる面がある一方、安全性をどう担保するかも問題。承認が早く、安い薬が流通したとしても、質が悪ければ意味がない。

 また、もしTPPに参加した場合、ISD条項(国家対投資家の紛争処理条項)により、日本の公的医療保険制度が参入障壁として外国から提訴された場合、本当に制度を守ることができるのかも不透明だ。

 つまり、命に直接関わる医療に、市場原理主義的な競争を持ち込むこと自体が大きな疑問だ。国民皆保険で担保されている平等性が失われ、患者の経済的な格差が命の格差を生み出せば、何より国民の命が損なわれてしまいかねない。

 日本医師会は(1)公的な医療給付範囲を将来にわたり維持する(2)混合診療を全面解禁しない(3)営利企業(株式会社)に医療機関経営に参入させない−の3つを絶対に守るよう政府に要求している。国益が損なわれるなら、すぐ交渉から撤退すべきだ。

 さらに、十勝の地域性を考えた場合、農業が基幹産業として住民の暮らしの足元を支えているのに、TPPで農業が壊滅的な打撃を受ければ、当然、住民の命を守る十勝の医療体制も悪影響を受けることが容易に想像できる。都市部ばかりに医療体制が整備され、地方の医療体制が縮小する事態にも至りかねない。

 いずれにしてもTPPは患者の命にも関わる。十勝の住民一人ひとりに自らの問題だということを知ってもらいたい。今後は、政治交渉でもあるため、地元十勝の国会議員を通じ、地域住民の命を守る医療者の懸念と要求をきちんと政府に伝えていくことが必要だと考えている。(井上朋一)

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