HOME 特集 【年間キャンペーン とかち 新・働く考】漂う若者(3)
   | メール配信登録  twitter facebook |

特集

【年間キャンペーン とかち 新・働く考】漂う若者(3)

2013年03月04日 13時47分

「当初は30代半ばまで帰るつもりはなかった」。家庭の事情で帯広に戻り、美容師として働く宮本さん(金野和彦撮影)

専門職「受け皿があれば」
優秀な人材 管外へ流出

 「どうなるんだろう…」。昨年秋、就職活動中の2人は、希望していた十勝管内の情報技術(IT)関連企業への就職に強い危機感を抱いていた。帯広コア専門学校3年の徳岡竜太郎さん(21)=池田町出身=と平山慎(まこと)さん(21)=幕別町出身。夏以降、まだ2、3社を受けただけだが、地元IT企業は数自体が限られ、次に受けられるところはなかった。

志望の業種を変え
 同校で就職支援を担当する椋井(むくい)保行講師は「十勝でIT専門の就職先は少ない。というより、ほとんどない」と言い切る。実際、技術者志向の強い徳岡さんは札幌で就職先を探し、地元志向の平山さんは志望業種を変え、管内の飲食業や印刷業を受けた。

 2人はその後、管内のコンサルタント会社でたまたまIT部門の募集枠が出て、そろって内定。今春から晴れて職に就くが、椋井講師は「ラッキーなケース。多くはITで就職しようとすると、地元に受け皿が少ないため札幌や東京に行かざるを得ない」と話す。

 専門職で、地元から優秀な若者が管外へ流出するケースはITの分野に限らない。医療分野では歯科衛生士の養成機関が十勝にはなく、希望者の多くは道央の専門学校に進学。そのまま札幌などで就職し、地元歯科医院での人材不足にもつながっている。十勝歯科医師会(小林靖会長)は昨年、休業中の有資格者を発掘する事業に乗り出した。

都会で実力アップ
 美容業界も同様、地元に養成機関がなく、人材の流出と確保に頭を悩ませる。東京・青山やニューヨークでの経験を経て4年半前、出身地の帯広で美容室を構えたMASATO(マサト)さん(40)は「1、2年以内に店を拡大したいが、新卒者の採用は難しい」とこぼす。

 昨年12月、たまたまMASATOさんの店に採用された宮本全(たもつ)さん(23)は、札幌の美容学校を出て東京・表参道の美容室に勤めていたが、家庭の事情で帯広に戻った。「少なくとも、30代半ばまでは地元に戻ることはないと考えていた」。美容師としてのレベルアップに、競争の激しい東京・表参道以上の場所はないからだ。

 東京、帯広で美容室を展開するイニシエート(本社東京)の佐竹英昭社長は「具体的な数字はないが、管外に進学し、卒業後に十勝に戻るケースは非常に少ない。人材流出に歯止めをかけるため、地元に美容の学校か学科をつくるべきだ。そうしないと、将来、地域の価値が下がってしまう」と指摘する。

 専門職を目指す若者は一般に職業意識が高いが、仮に養成機関があっても、受け皿がなければ流出は進む。このジレンマを解消しつつ、優秀な若者をいかにつなぎ留めるか。地域を挙げての戦略が求められている。(井上朋一)

<専修学校への進学者数>
 道の2012年度学校基本調査によると、十勝管内の高卒者3051人(12年3月)のうち、看護や美容など管内外の各学校(専門、一般の各課程)に進んだのは899人だった。



Facebookページに、取材した記者の感想など編集後記を掲載しています。

観光特集(勝毎電子版)
十勝川白鳥大橋ライブカメラ
6~12時 12~18時
21日の十勝の天気
最高気温
10℃
最低気温
6℃
朝日デジタル

今、なぜ「かちまい」…
ご購読のお申し込み