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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】漂う若者(1)

2013年03月01日 16時03分

全国平均より高い道内の早期離職率。正社員での再就職は難しい実態にある(ハローワーク帯広で、折原徹也撮影)=写真と本文は関係ありません

入社半年「イメージと違った」 早期離職に再就職の壁
 接客は好きな仕事だった。中札内村に住む男性(20)は昨年春、専門学校を出て管内のホテルに正社員で就職した。しかし、想像以上の仕事量に加え、人間関係も円滑にいかなかった。「次第に嫌なところが目に付きだした。ここにいても自分が成長できない…」。悩んだ末に、入社半年で退職願を出した。

 働いた職場は、繁忙期の夏は早朝から夜まで拘束され、担当の給仕の他に客室清掃やフロント業務もあった。相談できる先輩や同僚もおらず、気持ちは急速に離れた。今は帯広で配送のアルバイトをしている。

 就職後3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が辞める「7・5・3(しちごさん)現象」は十勝でも当てはまる。ハローワーク帯広の学卒者相談窓口には5月の連休前から、春に入社したばかりの高・大卒者の相談が数件寄せられる。最も多い理由は「自分が思ったのと違う」。担当者は「次への切り替えが早い」と特徴を話す。

希望と現実の間で
 早期離職の課題の一つは再就職の難しさにある。1990年代までは「退職」とは「転職」することだったが、労働市場の変化に伴い、退職後は不安定な職に就かざるを得ない人が増えた。中途採用は経験者など即戦力を求め、書類選考も通らない。「早期離職者で正社員として再就職できる人は、相談を受ける中では半分以下。大半は希望と現実の違いの中で“迷子”になり、次の就職まで時間がかかる」(ハローワーク帯広)。辞めてはみたが、次に何をしたいかイメージできない若者も多い。

 早期離職者を減らした企業もある。道内の学生に人気の柳月(音更)は7、8年前までは毎年、早期離職が5%程度いた。退職者の声を基に、採用試験前に企業や仕事内容を伝えることに力を入れ、経営理念の「5つの誓い」を社員間で共有した。3年以内の退職者はほとんどいなくなったという。

 同社人事グループの深瀬光正相談役は「時代背景が昔と変わり、『根性』で働かなくても生活できる。今の若者と付き合い、どう考え方を変えられるか。企業側も努力していかないとならない」と語る。

試行錯誤の時期
 「若い頃は試行錯誤の時期で、キャリアの移動は当然」と話すのは、労働政策研究・研修機構(東京)の小杉礼子統括研究員。早期離職よりも、新卒時のつまずきで失業や不安定就業者になることの方が課題とした上で、「一時期の非正規雇用であっても、技術が身に付いて評価され、正社員として就職できる労働市場や社会をつくる方が大事」と指摘する。

 働くスタイルは多様化し、転職しながらキャリアを積んだり、自分に合った職を見つけていく考え方も浸透している。ただ、離転職に良いイメージを持たない傾向は地方ほど根強い。現実とのはざまで、若者たちがもがいている。(安田義教)

<早期離職率>
 道労働局の調査では、道内で2008年3月に卒業した若者の3年後の離職率は高卒で47.2%、大卒で34.5%。各世代で全国平均を上回り、特に高卒は10ポイント近く高い。ハローワーク帯広によると十勝も同様の状況。「職や業界の選択肢が少ない」ことが要因の一つとみている。

 ■   ■
 早期離職や非正規労働など、若年者雇用はさまざまな課題を抱えている。働くことをめぐり、若者は何に悩み、どんな壁に直面しているのか。社会環境や価値観が大きく変化する中、雇用・教育現場の今を探った。



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