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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】私のスタイル(5)

2013年01月07日 14時06分

「社会に役立ちたい」。50代でNPOを立ち上げ、グループホームを運営する関さん

NPO法人いけだケアセンター代表理事
関久子さん(67)=池田
「社会の役に」自ら起業

 自宅で生活が難しい認知症のお年寄りが共同で暮らす、池田町利別西町のグループホーム(GH)「のどか」。いけだケアセンターが運営する同施設の事務室で関さんは、リビングから聞こえる歌声を耳に書類に向かっていた。

お年寄りに安心を
 介護保険の書類作り、職員の給与計算、利用者家族の応対など、管理運営の業務を1人で切り盛りする毎日。「本当は現場で、お年寄りと関わっている方が好き」と話すと、事務の手を休めて利用者の会話の輪に入った。

 関さんが施設の運営を始めたのは10年前(2003年開所)。それまでの勤務経験から「老人ホームは大人数の良さはあるけど、もう少し自由な過ごし方をさせてあげたい」との思いがあった。

 ある研修でGHの先進事例を聞き、「私がしたいのはこれ」と確信。10年間勤めた町内の老人ホームを早期退職し、仲間とNPOを立ち上げた。53歳のときだった。

 定年後は好きな旅行を楽しむ理想があったが、地域や高齢者が求める介護への思いが上回った。当時の自分を「独立や経営を望んでいたわけではない。お年寄りが安心して生活する、手助けをしたいとの気持ちが強かった」と振り返る。

 池田町生まれ。高校を卒業後、子供が好きで保育士になり、帯広などの障害者施設で障害児の保育も20年担当した。地元に戻ってからは、老人ホームで介護の仕事に携わった。夫(64)は医療職(リハビリ)で2人の息子も独立。それでも働き続けてきたのは、「社会に役立ちたい」との思いが常にあり、「生活の充実感」を求めてのことだ。息子には「お母さんから仕事を取ったら何も残らない」と言われた。

町内に2棟を建設
 だからこそ家族は、50代半ばの挑戦を快く後押ししてくれたと思っている。行政や金融機関にGHの必要性を説明し、NPO設立の認証から3年かけて建設にこぎつけた。10年には隣接して2棟目を建設。現在は2棟合わせて高齢者18人が暮らし、スタッフ17人が働く施設になった。

 「2棟も建ててすごい」「やり手だね」。周囲に言われても、関さんは否定する。「人間関係、お金、家族と、いろいろ考えるとできない。やりたいという気持ちで一歩を踏み出せるかどうか。そして、家族や周囲の理解と協力があってこそ」と話す。

 24時間365日、施設からいつ電話がかかってくるか分からない。「小さい所でも、いろいろなことがある。いいことも悪いことも最後は私の責任」。代表の重圧を感じるものの、お年寄りやスタッフの笑顔を見ることが一番の励み。「やってよかった」と実感する瞬間だ。(安田義教)

 <十勝の起業>帝国データバンク帯広支店によると、2012年の管内の新設会社(9月まで。NPO法人は除く)は115社。サービス業が32社で最も多く、卸売・小売・飲食業が26社で続いた。全体の6割超が帯広市内に本社を置く。資金融資で見る起業は11年度、帯広信金が56件、日本政策金融公庫帯広支店が36件。「若者は感性、シニア層は経験や人脈を生かした創業が多い」(同支店)。



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