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【年間キャンペーン とかち 新・働く考】私のスタイル(1)

2013年01月03日 14時51分

 どう働くか、なぜ働くのか−。景気低迷も背景に雇用環境が変わる中、十勝でも人々の働き方や仕事に対する意識が多様化しつつある。2013年の年間キャンペーン「とかち 新・働く考」のプロローグとして6人を紹介し、「働く」ことの意味を考える。
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夜が明ける前から、工事現場での仕事に向けて準備する小畑さん。防寒着を着込むが、冷気は強く、吐く息が真っ白になる(塩原真撮影)

有機栽培農家 小畑拓さん(33)=帯広
理想追って“二足のわらじ”

 「世の中には色んな仕事があって、たくさんの人が働いている。ボクもその一人。働いたらお金がもらえる。十勝に冬がくると、そんな日々が始まります」(2012年11月28日、小畑さんがフェイスブック=FB=ページに投稿)

居酒屋でバイト
 農業と、冬はアルバイトという“二足のわらじ”を履く。今冬は従来の居酒屋に、工事現場での仕事も加えた。野菜専業で規模も小さく、収穫が終わると収入が途切れるためだ。朝6時からの工事は日の入りまで。夕方からは居酒屋に立つ。農閑期はこれで妻(32)と6歳の女の子、4歳の男の子を養う。

 農業収入だけで通年食べられない厳しい状況を、軽くみるわけではないが、重く受け止めるわけでもない。バランス感覚で理想と現実を調和させる。

 農業は「自分の情熱を常に傾け、食を通して周りの人を元気にできる」。居酒屋は「都合の良いシフトで一定の収入を得られ、消費者にも触れ合える場」。そして工事現場にも、「お金を稼ぐのが一番強い要素だけれど、仲間とのチームワークを大事にできる」という考え方で前向きに立ち向かう。

 「ヘルメット着用よし!吹雪。視界不良!路面、凍結開始!!鼻水噴射っ!」(同11月29日、携帯からFBに投稿)

 神戸市出身。幼い頃、田舎で自然に触れた原体験から農業を志し、帯広畜産大学別科へ進学した。卒業後はバイト生活に明け暮れたが、市内愛国町の有機栽培農家薮田秀行さん(56)との出会いが転機に。「本気で農家になりたいなら、すぐ相談に行け」と背中を押され、市役所1階の受付に「農家になりたいんですけど」と駆け込んだ。

 貯金ゼロで2006年春に就農して7年。1年目は春から秋の農繁期もバイトで生活費を稼いだ。就農で多額の借金もつくり、45アールの畑で作物が育たないときもある。しかし、夢を実現できたのは、薮田さんや畑を譲ってくれた農家、何より地域のおかげ。バイト先も理解してくれ、信頼する仲間がいる。

 昨年夏、バイト先の市内の居酒屋で、自分の育てた野菜をしゃぶしゃぶにするイベントが開かれた。自ら盛り付けて一つずつ説明。「客が『おいしいから生でもいける』と野菜に手を伸ばした。あんなに喜んでもらえると思わなかった」と、大きな手応えを感じた。今年も春になれば、畑仕事と、新鮮な野菜を楽しみにする消費者が待っていてくれる。

 「賄いちう。今日は特別にアンコウ鍋、そして、雑炊へ雪崩れ込みました(笑)旨しっ!働いてるからこその役得です。でっへっへっ」(同12月17日、居酒屋バイト後にFBに投稿)

人のつながりを
 働くことの定義は「“対価”を受け取ること」と考える。ただ、それはお金ばかりではない。農家としては「収穫時にいい野菜が取れたという達成感と、消費者に売って得る代金」。バイトでは「収入に加え、人間的な成長」だと思う。

 なぜ働くのか、小畑さんはこう答える。「人とのつながりを編むようなもの。縦糸と横糸を組み合わせると面になり、いずれ立体になる。『食』という命を紡ぐための農業を志すからこそ、人とのつながりを大事にして生きていきたい」(井上朋一)

 <新規就農者> 道の調査によると、十勝管内では2011年で126人。うち新規参入は8人で、農業後継者の多い新規学卒者(77人)が大半を占める。Uターンは41人。一方、全道の新規就農者はここ10年間、599〜728人で推移。新規参入者が就農に要した初期投資額(11年)は1000万〜2000万円が最多で、野菜の場合もほぼ同額を投資するケースが多い。



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