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【札幌支社長インタビュー】(16)佐藤水産・佐藤壽社長

2011年11月10日 14時21分

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「天然サケ」品質をブランドに
売り上げ効率高め収益性重視

さとう・ひさし 1943年札幌市出身。66年に東洋大経済学部卒業後、佐藤水産に入社。85年7月に社長就任。

 −創業当時の苦労と飛躍のきっかけは。
 福島県出身で柔道家だった先代の父三男が兵役で北海道に渡り、除隊後、教員や炭鉱労働などを経て1948年(昭和23年)、石狩市に食品雑貨販売「佐藤商店」を創業したのが始まり。当時はリヤカーや馬そりで行商もしていました。

 54年に秋サケの水産加工業に着手し、サケの販売で有名だった旧五番館デパート(札幌)にも卸すようになりました。当時「新巻きは五番館」と言われるほど有名で、卸すのは至難の業でした。その年は石狩で極端な不漁となり、各デパートも品薄で困っていました。三男が「(不漁の)今年限りでなく、この先も仕入れてくれるのなら」という条件で卸し、五番館との固い絆を結んだのです。五番館に新巻きザケを卸したことが飛躍のきっかけになったのです。

 −社長就任後、どのようなことを手掛けたのか。
 32歳で副社長になりましたが父の言いなりで、「父のために仕事をしているようなもの」と疑問がありました。85年に42歳で社長となり、父は会長に就任しました。それまで優秀な社員が次々と辞めていくことに危機感を抱いていました。「佐藤水産はおやじの個人会社」という印象が強く、「今年はもうかった」となっても、社員に還元されなかったのです。

 社是も社訓も将来ビジョンもなく会社組織として機能していない。「若い社員が希望を持って働き、将来につなげていくような会社組織に立て直さなければ」と思いました。そのころから父親にしっかり自分の意見を主張するようになり、けんかや言い合いもしょっちゅうでした。

 私は社員の待遇改善を図ると同時に、製品にブランド力を付けて自主自立しなければならないと、「高品質海産物専門店」を目指しました。

 −具体的にどのようなことをしたのか。
 92年に石狩市新港に建設した「石狩サーモンファクトリー」が大きな転機の象徴。ガラス張りの工場にし、店舗とレストランを併設、多くの地元客、観光客を呼び込んでいます。初期投資は20億円ほどかかりました。役員会で説得しましたが、父は怒って会議室から出て行ったこともありました。何とか銀行を説得して着工にこぎ着けました。

 半年後にバブルがはじけ、さらに父のがんが発覚しました。私自身かなり落ち込みましたが社員が一丸となり頑張ってくれました。「チャンチャン焼き」などのヒット商品が生まれ、危機を乗り切ったのです。本当に社員に助けられたと感謝しています。

 4年後に父は亡くなりますが、看病していた妻に「もう大丈夫だ」と安心した顔を見せていたことを亡くなった後に聞き、ホッとしました。

 −今後も貫く理念やこだわり、戦略は。
 養殖物は一切使用せず、北海道に帰って来るシロサケ、アラスカ、カナダの天然産卵の紅ザケ、銀ザケ、キングサーモンだけを使用しています。自然の物、本物を提供するためには養殖物を使うことはできないと決め、現在のような養殖サケが盛んになる前から「天然のサケ」だけを扱っています。

 道央に8店舗ありますが、地方への店舗展開は現段階では考えていません。日本は厳しい経済状況にあり、量の拡大ではなく、質の問題。売り上げに対してどれだけの利益を上げるかを重視した経営をしなければなりません。

 マーケット自体は減っていきますがシェアを上げ、店舗当たりの売り上げ効率を高め収益性を重視することが大事な時代だと思います。(聞き手・丸山芳明)

 ■インタビューを終えて
 インタビューの冒頭、創業者であり、父である三男氏の数々のエピソードをお聞きした。父に教えられ、しかし父を超えることが今日の佐藤水産を作った。石狩サーモンファクトリーの建設はまさに第二の創業だったようだ。天然物へのこだわり、優れた加工技術・製品開発力、そして社長の情熱。それらが北海道の1次産業が目指す、ブランド構築、6次産業化を実現させている。
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 佐藤水産 1948年に「佐藤商店」を石狩町(当時)に開業。59年に五番館デパートに直売部開設。92年に石狩市にサーモンファクトリー直売店開設、93年に同所に工場新設。94年にヒット商品「チャンチャン焼き」発売。2000年サーモンファクトリー2期工事完成、02年に札幌駅前に本店開業、11年に新千歳空港店リニューアルオープン。資本金6000万円、社員383人(11年5月)、売上高73億2250万円(同・グループ連結)。

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