HOME 特集 【十勝へのメッセージ−企業トップに聞く−】前川製作所 田中嘉郎社長
   | メール配信登録  twitter facebook |

特集

【十勝へのメッセージ−企業トップに聞く−】前川製作所 田中嘉郎社長

2010年10月26日 14時54分


食の品質、環境保全、省エネ問題の解決へ
「安全なシステム構築」を追求
基本は拠点でのサービス
冷却熱の再利用/ヒートポンプや乾燥機器の開発/減農薬への実証試験

 たなか・よしろう 1942年東京都生まれ。上智大学外国語学部卒。2009年3月に社長就任。メキシコ、ベネズエラ、ブラジルの海外駐在員を経験した。

 −会社の歩みを教えてください。
 製氷事業から始まりました。戦後は電気冷蔵庫が一般には普及しておらず、家庭でも産業でも冷蔵庫用として氷は必需品でした。冷却装置が必要と考え独自に開発し、冷凍機事業にも参入。事業の幅が広がり、食品産業が大きなマーケットになりました。昭和40(1965)年ごろから冷凍食品が発達してくると、消費者からは品質や味を問われるようになりました。凍結温度や時間などを研究しながら、品質を進化させてきました。

 −事業内容や経営面で重視することは。
 品質や安全を含む食料関係の問題解決、環境保全の問題解決、省エネを絡めた安全なシステム構築がキーワードになります。特に環境保全は、地球温暖化に関与せず、オゾン層を破壊しないノンフロン冷媒に力を入れています。空気冷凍システム「パスカルエア」は、空気だけでマイナス60度以下に凍結する画期的な技術です。マグロ用の超低温冷蔵庫や薬品製造などに用いられていますが、マイナス30度程度でも同じ効率を得られれば冷媒は不必要になると思います。

 また、ビジネスの基礎は拠点でのサービスです。国内58カ所、海外33カ国にある拠点でアフターサービスを充実し、お客様の満足度を上げるよう心掛けています。社員全員の知恵を引き出すのが経営者の役割だと考えています。

 −世界からも注目されているようですが。
 中南米など世界の企業と取引があり、ブラジルには鶏モモ肉の自動脱骨ロボットも送り込んでいます。世界一の食肉消費国アルゼンチンは輸出に消極的でハードルは高いですが、マーケットとして注目しています。エクアドルにはマグロ運搬船に設置する超低温冷蔵庫「パスカルエア」の需要があります。塩害対策やコンパクト化による影響を検証し、事業を展開していきたい。

 −今後の事業展開は。
 マエカワの原点は冷却です。冷却で発生する熱を再利用する動きが広がっています。暖房用のヒートポンプや塗装の乾燥、温度や湿度調整が可能な木材の乾燥システムも開発中です。食の安全も重視し、自然界に存在する共生菌エンドファイトを活用したイネの実証試験を北海道で続けています。減農薬栽培や収量増加が期待できます。今後は大豆や麦にも広げ、国内はもとよりブラジルやアルゼンチンでも展開したい。

 −十勝の位置づけや期待することは。
 2001年に帯広営業所を開設し、現在は社員8人が十勝に常駐しています。JA士幌町の冷凍野菜やコロッケ、明治乳業の乳製品、広尾漁協の氷などを作る工場に機械を導入し、明治北海道十勝オーバルでは自然冷媒の製氷技術を提供しています。

 十勝は国内最大の食料供給基地。気象や地理的な要因から、どんどん発展すると思います。環境保全や食品の品質を追求しながら、地域の発展に貢献したい。


前川製作所
 1924年設立。本社は東京都江東区。資本金は10億円。従業員数は2200人(09年度)。売上高は439億円(同)、経常利益は1億8000万円(同)。

 ◆取材を終えて 学生時代は落語研究会に所属。長い海外駐在の苦労話をユーモアを交えて話すところはさすが。南米に単身で渡り事業を軌道に乗せた国もある。柔和な印象の中にたくましさやおおらかさを感じるトップリーダーでした。
 (聞き手=永田耕司十勝毎日新聞社東京支社長、不定期掲載)

観光特集(勝毎電子版)
十勝川白鳥大橋ライブカメラ
6~12時 12~18時
15日の十勝の天気
最高気温
3℃
最低気温
-13℃
朝日デジタル

今、なぜ「かちまい」…
ご購読のお申し込み