特集
【十勝へのメッセージ−企業トップに聞く−】日本甜菜製糖 小笠原昭男社長
土が良く クリーンな空気と水
大食料基地 十勝に根ざす
新事業「とかち飼料」に期待
ビートオリゴの製造検討/新素材研究を推進

おがさわら・あきお
1942年、岩手県盛岡市生まれ。早稲田大商学部卒業後、64年に日本甜菜製糖入社。2000年に取締役就任、企画部長や常務、専務などを経て、06年から現職。芽室製糖所次長など十勝勤務経験もある。
−砂糖原料のビート栽培での苦労は。
当社の前身である北海道製糖と旧日本甜菜製糖は大正時代に誕生しました。甘味資源の確保と北海道農業の振興が目的ですが、当時は誰もビートを知らず、ドイツやアメリカから技術者を招きました。工場を動かすのも大変で、間違って家畜用ビートの種を輸入するなど、1冊の本ができるほど苦労を重ねたようです。
−砂糖事業の現状は。
安価な輸入調整品が増え、砂糖の消費は若干落ちています。食料自給率を高めるには砂糖の生産量を増やすことが必要。関税など難しい部分もありますが、業界を挙げて国に働きかけています。政府が畑作にも導入予定の戸別所得補償制度はまだ全体像が見えません。ビートを取り巻く環境がどう変わるのか議論されておらず、説明不足の感が否めません。国が支援をしないと、どんな農産物もだめになると思います。
−砂糖以外でも多様な事業を展開していますが。
日清丸紅飼料と合弁で設立した「とかち飼料」は、10月から十勝港で試験操業を始めます。飼料の年間最大生産能力は60万トンでスケールメリットがあり、原料調達や製造コストが削減でき、大いに期待できる事業のひとつです。
帯広畜産大と共同で取り組むエゾヤマザクラから抽出した酵母「とかち野酵母」はおもしろい商品。オリゴ糖の一種「DFAIII」を使った「カウライザー」は、出産後の牛のカルシウム不足を補うことができます。また、ビート糖製造時の副産物である糖蜜(とうみつ)を原料にしたビートオリゴは販売が好調で、十勝の工場でも製造を検討しています。
また、総合研究所では、とかち財団と連携してビート由来の新素材の研究も実施しています。
−十勝はどのような存在ですか。
政府は食料自給率を50%に向上させる方針です。北海道・十勝は天候が安定し、平らな土地が多い大食料基地。何よりも土が良く、クリーンな空気や水があり、安全・安心も確保できます。「開拓者精神を貫き、社会に貢献しよう」を社是に、これからも十勝に根ざしていきたい。
生産者と食品加工メーカーが調和することが大切で、そのためには地域経済を守らないといけない。行政にしっかりしてもらい、学識経験者やメディアともスクラムを組み、地域振興のためPRしていきたい。
(聞き手=永田耕司十勝毎日新聞社東京支社長、不定期掲載)
日本甜菜製糖
1919年設立。本社は東京都港区。資本金は82億7900万円、従業員は703人(連結、2010年3月末現在)。10年3月期の売上高は561億8400万円、経常利益は27億3800万円。



