特集
【十勝で楽しむフットパス】 (下)新得・鉄道遺産に触れる
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

すすで黒くなり、緑に埋もれた新内隧道。時の流れを感じる
100年の歴史に思いはせ
「NPO旧狩勝線を楽しむ会」(竹田英一理事長)で理事を務める増田秀則さんと新内駅を出発した。「こちらからは狩勝隧道(ずいどう)を少し過ぎるまでは上りが続きます」。見た目はなだらかだが「1キロ進むと25メートル上る急こう配で、半径180メートルの急カーブが連続する機関車にとっては難所でした」と教えてくれた。当時の写真には先頭で客車を引っ張るSL(蒸気機関車)と最後尾から列車を押すSLが写っている。
標高は新内駅が334メートル、新内隧道は471メートル。標高差137メートルを約6キロのなだらかな坂にしてかけ上る。「途中で上りきれず止まってしまうこともあったようです。そんなときは新内駅まで戻り、再出発しなければだめだったそうです」。元機関士から聞いたという増田さんの裏話を聞き、当時の様子を想像しながら歩を進めた。
線路跡の両側に側溝が掘られ側壁は石が組まれていた。「線路を敷設した明治時代に造られたと思います」と増田さん。今でもがっちり組まれている石にはこけがむし、時の流れを感じさせる。木漏れ日を浴びながら進み、高さ80メートル、長さ200メートルの土を盛って築かれた「新内沢の大築堤」を通り、この日のゴール、新内隧道へ。出発から2時間ほどがたっていた。
新内隧道は延長124メートルで1902(明治35)年に完成。アーチ部分はレンガ積みで側壁は石組み。トンネル内は崩れていて現在は立ち入り禁止となっている。完成から100年以上たち、内側や入り口の壁は黒くなっていた。「SLの煙でなったんでしょうね」と増田さん。列車が走っていたころに思いをはせながら、心地よい汗を流した。
(文・平田幸嗣、写真・塩原真)




