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【リーダーの視点】福原 福原 朋治社長

2010年06月25日 14時44分

 十勝管内主要企業の売上高ランキング(帝国データバンク調べ)で、首位を走り続ける地元大手スーパーの福原。鹿追町の個人商店に始まり、設立半世紀で47店を構える道内スーパーの雄に成長した。日本初の食品スーパー連合「アークスグループ」の一員として競争力を高めシェア拡大を図る福原朋治社長に、経営戦略や商人の心構えを聞いた。(聞き手・安田義教、写真・金野和彦=毎月最終金曜日に掲載)

初歩的なことを愚直に

「大根1本、豆腐1丁を売って何ぼの商売。1円で勝負し、1円を節約したからこそ伸びてきた」などと経営への考えを語る福原社長

小さな商圏で高占拠率
 −スーパー業界を取り巻く環境は。
 全国的に既存店の売上高は前年割れが続き、高級志向の店は特に苦戦している。デフレが背景にあり、底なしの値下げ競争で、売れないから値段で勝負する。買い物ポイントも10倍付けるなど、よほど経営基盤がしっかりしていないと弱体化していく。

 −店舗展開などの戦略は。
 当社は小商圏で高占拠率を目指している。いわゆるドミナント戦略で、帯広市内でもあちこちに店を出し、経営効率を高めている。1店当たりの売り上げは大きくないが、地域密着の「面取り作戦」で、現在建設中の「すずらん台ショッピングセンター(仮称)」(音更)もその1つ。今期の目標は売上高が453億、経常利益が21億円。「大きな会社よりもいい会社、いい会社を大きくする」を経営理念にしている。

 −消費不振への対応は。
 商品の鮮度、お客様へのあいさつ、きれいな陳列、衛生など初歩的なことを愚直にやるしかない。低価格競争からは逃れられないので「ロープライス、ローコスト」を実現する。そのためにはグループで商品の仕入れ、経費のコストを下げることが必要で、アークスを立ち上げた。

 −ラルズ(札幌)と経営統合し、アークスグループに参画して7年になる。
 ずっと無借金経営で増収が続き、利益も出ていたので、統合しなくてはいけないことはなかった。だが、こういう時代が来て業界の再編成が必ず起きると思っていた。それならば早い方がいい。決断は今になってみると大正解だった。

   −その理由は。
 スケールメリットで仕入れコストを抑え、品ぞろえもよくなる。日常的な包装資材、出店時の機具備品などの購入にもメリットがある。大根1本、豆腐1丁売って何ぼの商売では大きい。そして何と言っても札幌は情報量が多い。

鹿追町の個人商店から現在は道内47店を展開するチェーンに成長した福原の本社

 −グループの経営方法は「八ケ岳連峰経営」とも呼ばれる。
 経営統合は合併と違い会社組織や店名、社長も残る。それぞれの独自性、自主性が保たれるのが「連峰経営」のいいところ。互いにいいところ取りし、悪いところは補完する。自分の企業の利害にとらわれず、グループのプラスを考えることが必要で、当社も北見で利益を出していた店を道東ラルズに譲るエリア調整をした。グループ売上高は今期は3070億円の見込みで、いよいよ3000億円の大台を突破する。道内はアークス、コープさっぽろ、イオンが3極だが、その中で頭一つ抜けるのでは。

 −経営理念の下で規模拡大よりも財務体質の強化を進めてきた。
 「膨張よりも成長」「ボリュームよりもバリュー」。いい会社の条件は安定性、成長性、収益性が整い、働く人が豊かになれる会社。会社がつぶれてはいけないから財務基盤を強くする。そのために計数管理はしっかり行った。棚卸しは月1回、生鮮は10日に1回。肝心なのは粗利益率が多いかどうかで、店別の営業利益と商品部門別の粗利益の分析は30年も前から実践してきた。2店舗目を出したときに、商品の店間移動の記録は煩雑で難しいと会計事務所にさえ言われたことがある。しかし、2つの利益管理をしたことが高収益体質を定着させた最大の要因。金融機関の信頼も厚くなり、株式公開も簡単に進めることができた。

 「買う立場」が判断基準
 −社内研修にも力を入れていると聞くが。
 商人としての心構えは、とにかくお客様あっての職場であり、私たちだと伝えている。お客様と店長から同時に呼ばれたらお客様に顔を向け、お客様が翌日の特売を知らずに買おうしたら「明日から安くなる」と言ってあげるべき。なぜなら給料はお客様からもらっていて、損得より善悪、売る立場より買う立場が判断基準だから。うちは固定客がほとんどで、お客様がみすみす損することを、だまって見ていられない。「福原ほど大きな会社だからできること」とも言われるが、そういう商売をしたからこそ大きくなれた。お客様に苦情を受けることもある。ただ鹿追の1店から始まり清水、芽室、帯広に店を広げ、これだけになれたのは経営理念だと思う。

 −十勝の活性化に向けた考えは。
 日本の食糧基地の1つだから、農業や食料関係での産業活性化がいいのでは。新しい帯広市長のフードバレーの構想は何とか成功させてほしい。

 プロフィール  1935年鹿追町生まれ。清水高卒。鹿追町で兄の治平氏が創業した福原商店に入り、58年の法人化で専務に就任。94年から社長。2002年にラルズとの経営統合で設立したアークスの会長を務めている。

<取材を終えて>
「商人の心構え」明快に説く

 「『いい会社』を大きく」「膨張よりも成長」「判断基準は買う立場で」…。福原社長が示す経営方針、商人の心構えは、とても簡潔で明快だ。社員研修では、パートを含む全社員に社長自ら伝えると聞いて驚いた。スーパーの社員は「作業員ではなく商人」と説き、消費者を裏切らない店づくりを目指す。そして収益確保のための徹底した計数管理。年商450億円に成長した企業の神髄だと感じた。

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