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【始動 米沢市政】(2)フードバレー構想

初登庁し市長のいすに座る米沢則寿市長。「フードバレー構想」は市の中核の政策として動きだすことになった
<目玉政策 指導力がカギ>
米沢則寿市長が公約の柱として前面に掲げた「フードバレーとかち構想」。21日の就任記者会見でも最重要政策である考えを繰り返し、「いただいた4年間の任期の中で、実施実現に初日から取り組みたい」と強調した。
十勝の可能性確信
米カリフォルニアの半導体企業の集積地「シリコンバレー」の食産業版。帯広・十勝の農業生産を背景に食関連企業や研究機関を集積する。産学官連携による起業化促進、地元中小企業支援、企業誘致を進め、食と農の地域の優位性を高める。フードバレーを起点に雇用を創出、観光や福祉、中心市街地活性化など、さまざまなまちづくりに波及させるという。
同構想への米沢市長の思い入れは強い。フードバレーの言葉がなかった1990年代前半から何度も、先進地のオランダにビジネスで足を運び、現地の産業集積地を視察。その中で、十勝での可能性を確信した。地場経済の成長戦略を設定し、その目標に向かって市役所や地域が取り組む姿を描く。
市食産業振興協議会の金山紀久会長(帯広畜産大副学長)は「経済のグローバル化で従来のように単に地域で生産、消費を『なりわい的』に行うだけでは限界がある。原料供給から加工、流通でどう付加価値を生み出すかが求められている」と構想の可能性に期待する。
米沢市長は会見で「現在進行中の施策や課題を整理し、優先順位をつけたうえで取り組みたい」と具体的な実施スケジュールについての明言は避けた。しかし、6月議会で提案する補正予算案(政策予算)に関連予算を計上、庁内に推進組織を設けることを検討している。米沢市政の目玉施策が早くも動きだすことになる。
砂川市政も産学官連携による食関連産業の創出を目指し、「帯広リサーチ&ビジネスパーク(R&B)構想」を3期目の重点公約に掲げた。ただ、R&B構想は推進のための協議会設置にとどまり、議会内から「単なる器づくりだけに終わった」との批判を受けた。
庁内に理念浸透必要
一方、庁内には新産業創出に関し「行政としてできることに限りはある」との声も。フードバレー構想への理解も進んでおらず、ある職員は「企業向け融資や振興条例化などは既に手を打っている。厳しい経済情勢下では早期に結果を出すのは難しいのでは」と漏らす。看板倒れに終わったR&Bの二の舞の懸念がよぎる。
金山氏は「企業同士では利害関係が必ずしも一致せず連携は簡単なことではない。点から線になりつつある産学官のつながりを一層強固にする役割が求められる」と、実現に向けてリーダーシップの必要性を説く。
「帯広・十勝を世界に発信する食料基地へ」−。中央や国際経済でもまれてきた米沢市長の手腕を市民は注視している。差し当たっては、構想の理念・意義を市役所の隅々まで浸透させられるかがカギとなっている。(原山知寿子)



