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【年間キャンペーン 350万市場への道】第2部 十勝の現状と課題−1−

2010年02月23日 15時38分

 全通が待たれる道東道が6月をめどに無料化される見通しとなった。購買力が流出するストロー現象を跳ね返す上では、巨大市場の消費者を引き寄せることが期待される。十勝の現状と戦略を探った。


ストロー現象

「人口1万人減」の試算も

 「道央圏との時間短縮と高速道路無料化が重なる十勝は、地元購買力が流出するストロー現象が起こりやすい」

変動ダイナミック
 室蘭工業大の田村亨教授らの研究グループは今月上旬、無料化で予想される道内各地の影響を発表した。

 田村教授は「無料化が実現すれば札幌から1、2時間圏内の都市は魅力が増し人口流出も収まる。半面、道東、特に十勝はダイナミックに変化する可能性がある」と指摘、「ストロー現象が進めば、十勝は2040年までに1万人以上の人口を吸い取られかねない」と試算する。

 道央出店を決めた十勝の小売業者は「高速道全通で若者は有名ブランドの店がある道央まで流れていく。対応は困難だろう」と説明、「高速道を使えば店舗管理体制を効率化できる。道東より安定した将来人口の推移見通しも出店を決めた要素」とする。

 帯広工業団地協同組合の山内利美専務理事は「十勝と道央の商圏が接近すれば互いのパイの奪い合いが加速、激しい企業間競争に発展する」と予測。地元商業者からは「大都市の消費者の目は肥えている。地方に購買を引き付けるだけの仕掛けや資源は乏しい」との「弱音」も漏れる。

 帯広広小路商店街振興組合の河野光雄理事長は「食などを目当てに観光客が訪れれば商店街にもお金を落としてくれるはず」と期待。田村教授は「地域経済を活性化させて雇用増につなげる『成長戦略』を持てるかがカギ。1泊の旅行商品を同料金で2泊にするなど、無料化で浮く物流コストを付加価値向上に転化する仕組みを整えるべき」と提言する。

全通前に無料化される道東道。地域戦略の構築が重要度を増す(音更町東和の道東道音更帯広インターチェンジ付近)

十勝への高い関心
 こうした中、十勝では道央圏に直接乗り込み顧客を獲得する動きも出ている。帯広観光コンベンション協会らは昨年から、札幌市内のホテルに個人客と旅行会社の関係者を集めて十勝の魅力をアピール。札幌のラジオで宣伝したところ50人の一般参加枠に400人の応募があり、十勝に注がれる視線の強さを証明した。

 同協会の櫻井政宏事務局長は「道東道が無料になっても道央圏の人が来るとは限らない。十勝を目的地に選んでもらうための仕掛けが必要」と説く。取り組みは3年間続ける予定で、既に札幌の地下鉄に道東道利用を呼び掛ける広告を出すなど工夫している。

 高速道無料化が及ぼす人口流動について、田村教授は別の見方も示す。「活性化の明確な戦略を描けるなら、十勝は逆に1万人増やすことも可能だ」
(犬飼裕一)

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