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【先生が見たエジプトの今−JICA教師海外研修から−】(2)

2010年02月05日 15時56分

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独自の気質
家族や地域のつながり大切に

イスマイリアの保育園で担当者と意見交換する日本の教師たち。視察先では、何事にものんびりしたエジプト人気質に触れた

労働面はじめ何事にもアバウト
 「エジプト人の広い心や『緩やかなアレンジ』(取り決め)など、世界には多様な人々がいることを子供たちに伝えてほしい」

 JICAエジプト事務所で、調整員の石島和彦さん(36)がこう訴えた。研修団の一行は、視察で出会ったエジプト人を思い出し、笑みを浮かべた。

 仲間とおしゃべりに高じる駄菓子屋の主人、チャンバラごっこにたわむれる警備員、目的地への運転を拒否するタクシー運転手がいる一方で、多くの人々が勤勉に深夜まで働いていた。活気にあふれるスーク(市場)では、巧みに英語を操り、物おじせず観光客に土産を売る子供たちを見かけた。

 実際に見たり、聞いたりして、教師たちがまず戸惑いを感じた日本人との違いの一つは、エジプト人の労働観だった。同事務所の田中理さんが語ってくれたエピソードは興味深い。

 過去にある農家を視察した時のことだ。収益率が高い牧草を畑の3分の1でしか栽培していないのを見て、「なぜすべてを牧草に使わないのか」と尋ねた。するとこの農家は、「(どんどん生えて来るので刈るのに)疲れてしまう」と答えたという。

 何事にもアバウトなエジプト人気質を指摘するのが、文化財保存修復センターの技術支援などに携わる中村三樹男さん(62)。エジプト側が用意する遺物のデータベースは寸法や重さが記録と異なり、あるはずの遺物が無かったりすることも珍しくはない。「昨年のデータは1100件のうち874件が間違っていた。モノを整理するのが苦手なのか」と苦笑する。

 ピラミッドにナイル川…、観光資源の豊富なエジプトだがGDP(国内総生産)は世界192カ国中50番目。日収2米ドル以下の貧困層が4割を占め(2005年、UNDP調べ)、貧富の格差、高い失業率(8.4%)、急増する人口など多くの課題を抱えている。中東で重要なポジションを占める大国とはいえ各国の資金援助は多く、日本の協力額は約870万ドル(07年)に上る。

経済優先ではない「幸せの単位」
 さまざまな課題を内包しながらも市民は至ってのんびりしている。彼らが一番大切にしているのが家族だ。バンハ市に滞在する青年海外協力隊員の岩崎万里さん(25)は「昼食は必ず家族と一緒に食べるし、昼時に食べられなければ午後2時には仕事を切り上げ、4時ごろには家族と食卓を囲んでいる」と話す。

 個々の経済活動を優先する日本と、家族や地域のつながりを大切にするエジプト。札幌市立明園小教諭の村上和彦さん(34)は「エジプト人は家族が幸せに暮らし子供をたくさん作ることを第一に考える。物質的に豊かになることを願う日本人とは『幸せの単位』が違う」と語った。

 「あれぐらい人生を楽しめたらいいなあ」−。研修団の参加者は日本人が失いかけているものに出合い、うらやんだ。(犬飼裕一)
※岩崎万里さんの崎の字は異体字です。
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 JICA
 独立行政法人国際協力機構。開発途上地域の経済、社会の発展に貢献するための技術協力などを行っている。2008年10月、国際協力銀行(JBIC)が担ってきた円借款などの「有償資金協力」と外務省の「無償資金協力」を統合、日本のODA(政府開発援助)を一元的に実施する機関となった。

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