特集
【先生が見たエジプトの今−JICA教師海外研修から−】(1)
JICA(国際協力機構)の教師海外研修が1月8〜18日、道内各地から十勝の3人を含む10人が参加し、エジプト各地で行われた。同研修に同行、教諭たちが見た「エジプトの今」をリポートする。
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| 障害者めぐる環境 |

教師の唇の動きを鏡で読み取る勉強をする女の子(デフ・ユニット)
人口の1割何らかの問題抱える
「子供たちに障害があっても彼らが生きることの障害にはならない。親と子供はもちろん、誰でも手話を通じたコミュニケーションを学べる体制を整えたい」
カイロ市内のマァーディ地区にある聴覚障害者施設「デフ・ユニット」。責任者のクレールさん(52)はこう説明した。
隣にいる教師の唇の動きを鏡で読み取り意味するプレートを指さす女の子、黒板に書かれた数式を素早く計算する男の子など、コプト教(キリスト教)・ナディーン教会内の同施設で行われている授業は高度だ。5〜8歳のクラスをのぞくと子供たちから笑顔と手話で歓迎を受けた。
人口の1割が何らかの障害を抱えているとされるエジプト。
同施設によると、聴覚障害だけでも200万人に上るという。JICAエジプト事務所はその理由として(1)先天的障害(2)分娩(ぶんべん)時の不適切な処置(3)交通事故や労働安全管理の不足−などを挙げた。
研修団の一行はデフ・ユニットのほか、アレクサンドリアにある「サンマルコカレッジ」も訪れた。校舎内には立派な礼拝堂や広い運動場も備わり、目を見張った。
しかし、ここで教育を受けられるのは、一部の恵まれた子供たち。青年海外協力隊員(JOCV)の松原弥生さん(35)は「多くの障害を持った子供たちは、就職すらできない」と明かす。
ハードに課題も助け合いの精神
教育施設に限らず障害を抱える国民が大勢いる割に、まちなかはバリアフリーとは言えなかった。カイロ市内でさえ歩道のあちこちに凹凸があり、信号もほとんど見掛けない。「これでいいのか」。私たちの疑問に、デフ・ユニットで活動を続けるJOCVの松尾洋子さん(31)が答えてくれた。「段差のある場所では見ず知らずの若者が老人の手を引き、乗り合いバスでも席を譲る。エジプト人は助け合いの精神が旺盛。宗教の違いなのかも」
地方では、その傾向がさらに顕著になる。JICAエジプト事務所で障害者支援などを担当する田中理さんは「地方では皆が顔なじみ。障害があるからといって遠ざけることはない」と語る。聴覚障害者だけが勤務し、手話やジェスチャー、メニュー表で接客する「ケンタッキー」もあると聞き、感心した。参加した芽室西小の尾島未央さん(27)は「生活しづらいように見えて、ここでは障害は障害ではないのかも。エジプトはノーマライゼーションの先進国」と述べた。
ユニバーサルデザインにバリアフリー、ハード面では整いつつある日本。ただ根本的に大切なのは意識、心なのだということを改めて実感した。
(犬飼裕一)
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アフリカ大陸の北東端に位置し、面積は日本の2・6倍。人口は約7700万人。言語はアラビア語、9割以上はイスラム教のスンニ派。国土のほとんどは砂漠気候で、ナイル川の水は貴重な資源となっている。首都はカイロ。




