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【年間キャンペーン 350万市場への道】第1部 国内先進地ルポ−4−

2010年01月07日 15時36分

旅行商品開発−九州自動車道(熊本県)

既存のバス路線網活用

 九州を南北に貫く九州自動車道(延長346.4キロ)。起点の福岡から佐賀、熊本、宮崎と南下し、鹿児島までほぼ一直線に延びる。「九州の屋台骨」と呼ばれるにふさわしい高速道路だ。

ひしめく観光地
 レンタカーで走ってみると、都市間距離の短さに驚いた。車窓からは似たような街並みが次々と目に飛び込む。温泉街や景勝地など九州各地にひしめく観光地も例外ではなく、単に「高速道が近い」というだけで観光客を呼び込めないのは明らかだ。

 熊本県は南北に細長く西部を九州道が縦断、県内観光地との接続も良い。しかし熊本市内の観光客数は横ばいで、ドル箱の阿蘇山周辺は減少傾向という。県観光連盟の高原秀男専務理事は事務所内の壁に張られた何種類もの観光ポスターを仰ぎながら、「熊本は人気観光地の福岡、鹿児島に挟まれている。放っておけば埋没する」と危機感をあらわにした。

 県庁でも担当者が口にしたのは「埋没」の言葉。観光経済交流局観光国際交流課の岸本佳代参事は「優れた観光地があるからといって、あぐらをかいていてはだめ」と言い切った。県は地元バス会社、業務委託した旅行会社(名古屋市)に呼び掛け、九州道を含む既存バス路線網を観光ルートに組み込む商品開発に取り組んでいる。

地域資源最大限に
 バス路線を国内旅行会社のパック商品に利用してもらう全国初の試みで、4月の運用開始を目指す。九州道の高速バスは同市中心部と県南部の人吉温泉を結ぶ。旧城下町の同温泉は「九州の小京都」とも称され、最寄りの人吉インターチェンジから10分足らずの好立地だ。

高速道のバス路線を活用した旅行商品の開発など、熊本県は観光需要を喚起する取り組みに力を注いでいる(熊本市内の総合観光案内所)

 高速道を使った快適な観光ルートが手軽な商品として全国に発信されれば、地域のインフラを最大限に生かせると感じた。旅行会社にとっても、観光ルートを組み立てる際にバスを調達する手間を省ける利点がある。

 九州新幹線鹿児島ルートの全線開通(2011年春)後は新大阪まで片道3時間台で結ばれ、高速交通網が充実する九州エリアの観光客争奪戦は一層激しくなる。熊本県は県観光連盟、民間の観光関連団体と連携し、今年度から「ようこそくまもと大作戦〜みんなで取り組むおもてなし」事業も展開、景観美化や観光客接遇など100件に上る民間団体の活動に助成(1件上限30万円)している。

県民総出の危機感
 岸本参事は取材中、「県民総参加」の言葉を繰り返し使った。民間の協力を取り付けた苦労を尋ねると、すぐさま「観光立県を揺るがす危機感に官民の区別はない」との答えが返ってきた。

 十勝も道東自動車道の全線開通後は道央圏、さらには釧路圏が近付く。観光地として実績のある両地域に挟まれ、どう埋没を避けるのか。帰りの車中でそんなことを考えると、いてもたってもいられない気持ちになった。(菊池宗矩)
※高原秀男専務理事の高の字は異体字です。

 バス路線網を活用した旅行商品
 個人や小グループなどの旅行需要を促そうと昨年12月、熊本市内と阿蘇、天草などを結ぶ11路線を選定、予約受け付けなどのシステムを構築した。うち7路線は全国の旅行会社で予約が可能になる。

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