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【年間キャンペーン 350万市場への道】第1部 国内先進地ルポ−3−

2010年01月05日 14時46分

需要喚起−しまなみ海道(愛媛県)

特典付け「宿泊」を誘導

 高速道路・本州四国連絡橋、広島県尾道・愛媛県今治ルート(延長59・4キロ)の愛称は「しまなみ海道」。車窓から見渡せるのは青く澄んだ瀬戸内海。橋の脇にはサイクリングロードが整備され、気持ち良さそうにペダルをこぐ人の姿があった。高速道そのものが観光資源になっているようだ。

貸し自転車人気
 四国側の海道出入り口で目にしたのは、400台ものレンタサイクルが並ぶ光景。今治市サイクリングターミナル「サンライズ糸山」の営業主任、宮田秀忠さんを訪ねると、「高速道の休日片道1000円乗り放題導入で大幅に需要が増えた。一日のうちにすべて貸し出されたこともある」。今年度(11月現在)の貸し出し台数は延べ2万3326台に上り、既に昨年度実績を超えたという。

 高速道のETC(自動料金収受システム)休日特別割引導入は、海道ルートに浮かぶ小島にも活気を与えている。「伯方(はかた)の塩」で有名な伯方島。オレンジ色に輝くミカン山が遠くからも眺められる。島内にこれといった行楽施設はないが、豊かな自然に魅せられた観光客の増加を受けて発足した住民グループが塩作りやミカン収穫の体験機会を提供している。

「もっとのんびり」
 現地で1泊した農家民宿では、瀬戸内の海藻「いぎず」と大豆を混ぜた豆腐や麦のみそ汁など珍しい郷土料理を堪能した。民宿を営んでいるのは、しまなみグリーンツーリズム推進協議会の会長も務める西部知香さん。みそ汁から漂う甘味に驚くと、西部さんは「島では普段の食事」と苦笑、「外の人と触れ合えば新たな発見がある。それがうれしい」と話してくれた。

美しい景観に溶け込んだ「しまなみ海道」。訪れる観光客も増えている

 翌朝、島で一夜を過ごしたからこそ味わえた感動を伝えると、西部さんは「せっかく来ても、あわただしく次の目的地に行ってしまう人が多い。もっとのんびりしてほしいけれど、たくさんの人が泊まれる場所がない」とつぶやいた。

2日連続の戦略
 高速道で訪れた観光客をいかにして引き留めるか。香川県ではETC割引開始後、四国以外に住む人を対象にユニークな高速道利用促進キャンペーンを展開。2日間連続して県内で買い物したレシートなどを添えて応募すると、ホテル宿泊券などが当たる仕組みだ。今年度上半期(4〜9月)は全国から6576通の応募があった。

 県交通政策課の高橋佑介主任主事は応募者の資料を広げながら「北海道からもはがきが届いた」と手応えたっぷりの表情。「2日間連続」の条件が地元宿泊を促すのは明白で、したたかな戦略に舌を巻かざるを得なかった。

 十勝の観光形態も「通過型」からの脱却が求められる。道東道の全線開通で、道央圏との所要時間が短縮されれば、日帰り観光も苦にならなくなる。単に観光客を呼び込むだけでなく、いかに長く滞在させるか。そんな視点の方策が急務だと改めて思った。(関坂典生)

 香川県の高速道利用促進キャンペーン
 「橋を渡って讃岐へ来(き)まい!ラッキー1000円キャンペーン」の名称で今年度スタート。「来まい」は香川の方言で「来て下さい」の意味。瀬戸大橋の与島パーキングエリアに設置されたスタンプを専用はがきに押し、県内小売店などのレシートや入場券などを張って応募できる。県は今年度予算で事業費1000万円を確保、はがきが印刷されたパンフレットは瀬戸中央自動車道サービスエリアや中国・近畿地方の道の駅にも置いている。

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