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【年間キャンペーン 350万市場への道】第1部 国内先進地ルポ−2−

2010年01月04日 15時17分

県庁「新料金活用戦略PT」−本州四国連絡橋(徳島県)

産業界の声 行政が集約

 赤や茶色の紅葉が見ごろの昨年12月初旬。徳島県西部の祖谷(いや)地方は県外を含む観光客でにぎわっていた。

 平家落人伝説が残る渓谷で、観光客の目当ては国の重要有形民俗文化財の「かずら橋」。周囲にめぼしい観光施設もない山奥だが、駐車場では「神戸」「奈良」など本州ナンバーの自家用車が多く目に付いた。

山奥に行列出現
 付近で民宿を営む出口福子さん(59)に聞くと、「9月のシルバーウイーク期間中は橋の前に4時間待ちの列ができた。民宿も連日満室だった」と振り返った。思い当たる理由を尋ねると、真っ先に高速道路のETC(自動料金収受システム)休日特別割引を挙げた。

多くの観光客でにぎわう「かずら橋」。ETC割引導入で訪れる人が増えている

 本州から四国を訪れるには、瀬戸内海を渡る高速道路・本州四国連絡橋を利用する必要がある。大鳴門橋・明石海峡大橋でつながっているのは徳島県鳴門市と兵庫県神戸市。徳島県側が大都市・神戸からどうやって「ETC効果」を引き寄せたのか、手掛かりを探るため徳島県庁で発足したという「高速道路新料金活用戦略プロジェクトチーム」を訪ねた。

素早く事業集約
 チームは各部局から横断的に集まった中堅職員約20人で組織。メンバーの1人、県政策企画総局の原田治喜課長補佐は「チームは連絡橋でETC割引が始まる2カ月も前に発足。県外者の高速道活用を促す77もの事業をかき集め、今年度予算に間に合わせた」とスピード感を強調した。

 手渡された資料には地元農産物の直売市を紹介するパンフレットが含まれていた。取材の傍ら何気なく開くと、「近いよ!徳島」の文字が目に飛び込んできた。原田課長補佐は「関西圏にとって海の向こうの徳島は実距離以上に遠い場所と感じられる点を払拭(ふっしょく)したかった」と説明してくれた。

低料金、「関所」破る
 チームリーダーを務める県政策企画総局の後藤英与主任政策調査員は「関西圏との『距離』が遠かった理由は高止まりした通行料にもあった」と漏らす。連絡橋の平日通行料は普通車片道5450円(神戸西−鳴門)と高く、地元で付いた連絡橋の別名は「平成の関所」。県は民主党政権が掲げる高速道無料化も「流通コスト削減につながる」として歓迎、成長著しいLED(発光ダイオード)分野の関連企業誘致につなげたい考えだ。

 「連絡橋は農林水産業、製造業など県経済にとって生命線。行政には産業界の意見を集約する役割がある」−。高速道を地域発展の起爆剤にしようと意気込む職員の言葉に共感を覚えると同時に、道東自動車道の全線開通を控えた十勝でも行政のリーダーシップが不可欠だと改めて確信した。(関坂典生)

 高速道路新料金活用戦略プロジェクトチーム
  本州四国連絡橋でETC割引導入方針が示された直後の昨年1月20日に発足。県外からの観光客数などの倍増を目指し、インターネットなどを活用した徳島観光PRを展開。今年度予算編成に際してチームが取りまとめた高速道活用のための関連事業費は26億8000万円(9月補正分含む)。3分の1程度を占める約9億円は、鳴門海峡名物・渦潮を間近に観察できる観光施設「渦の道」改修に充てられる計画。

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