特集
【年間キャンペーン 350万市場への道】第1部 国内先進地ルポ−1−
2010年度は道内高速道路の無料化が予想され、11年度は道東自動車道の全線開通が実現、十勝と道央の交通環境は様変わりする。今年の年間キャンペーンテーマは「高速道路開通−350万市場への道」。第1部では、昨年始まった高速道のETC(自動料金収受システム)休日特別割引を地域活性化に生かす四国、九州の先進事例を紹介する。高速道で結ばれた大都市から観光客らを引き寄せるための道標(みちしるべ)を探った。
■吉野川ハイウェイオアシス−徳島自動車道(東みよし町)
住民と観光客を結ぶ場
徳島県西北部の東みよし町は、清流として知られる大河・吉野川の中流域にある。北は阿讃山脈、南は四国山地に囲まれた人口約1万6000人の小さな町だ。かつて繊維産業が盛んだったというが、今はのどかな農村風景が広がる。
入浴先は高速道
山間の集落の住民が毎日のように入浴に出掛ける先は何と高速道路。徳島自動車道のサービスエリア(SA)に隣接する「吉野川ハイウェイオアシス」の「美濃田の湯」だ。温泉成分を含み、吉野川を眺望できる露天風呂、サウナなどが備わる。付近には一般道で乗り入れできる駐車場もある。現地で出会った住民の土井春枝さん(85)は「立派な施設があって幸せ」と笑顔で話した。
オアシスはSA建設に合わせて町が計画、国の補助も活用して総工費約40億円を投入し、2000年3月にオープンした。第三セクター「吉野川オアシス株式会社」(藤丸公志社長)が運営している。
随所でアピール
敷地内には飲食・物販店、1棟5、6人が宿泊できるバンガロー14棟が並び、テーマパークさながらの雰囲気。レストランをのぞくと「わたしたちが大切に育てた野菜たち」と書かれた地元農家の顔写真入りポスターが張られ、地域を知ってほしいとの思いがひしひしと伝わる。芝生の広場には遠足に来た子供たちの歓声が響き、小さな町は常に活気を感じさせた。

観光客と地元住民の交流拠点にもなっている「吉野川ハイウェイオアシス」
施設の年間売上高は6億円前後を維持し、利用者も年103万〜139万人と安定。高速道路のETC(自動料金収受システム)休日特別割引が始まった今年度はさらに1割増を見込んでいる。
同町は周辺の美馬、三好両市、つるぎ町と共に「にし阿波観光圏」を形成。ETC割引で訪れる観光客を周遊させようと、広域連携を深めている。山里に伝わる「妖怪(ようかい)伝説」などをアピールし、昨年3月には「にし阿波」を紹介するパンフレットも製作。ページをめくるとやはり住民が多く登場、ありきたりのガイドブックにはない親しみやすさを印象付ける。
関係者の期待通り、オアシスも住民と観光客が触れ合う場として定着。屋外ステージでは住民がカラオケ大会や阿波踊りを楽しみ、立ち寄った観光客に踊り方を手ほどきすることもあるという。
生活に溶け込む
日常生活に高速道が溶け込んでいることについて、徳島県西部総合県民局で迎えてくれた丸岡進にぎわい交流・観光担当課長補佐はこう説いた。「ETC割引で観光客が増えている今こそ、地域一丸となって魅力を伝えるべき。オアシスは重要な役割を果たしている」
徳島県より広大な北海道。長距離運転に疲れた観光客が立ち寄り、住民と言葉も交わしながら心身を癒やせる場が十勝にもあれば−。ふと、そんなことを考えた。(関坂典生)

東みよし町が95%出資する第三セクターが運営。徳島道開通(2000年3月)に合わせてオープンした。四国の特産物を販売する物産センター、レストランやうどん店、入浴施設、農産物直売所がある。レジャー関連ではバンガロー、テニスコートのほか、吉野川を巡る遊覧船も運航している。




