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【ようこそ野鳥の宝庫へ 十勝川ワシフェスタ】(下)

2009年12月17日 15時53分


観光と保護…道模索

ワシ観察クルーズに搭乗したシンガポールからの参加者。専門ガイドから十勝川流域の野鳥の生態について説明を受けた(6日、山下僚撮影)

 「テレビの取材も相次ぎ、近隣の宿泊施設からは問い合わせが来ている。体験したシンガポールの旅行会社の関係者も、商品として興味を持ってくれ、手応えを感じている」。「十勝川ワシ観察クルーズ」を主催する十勝ネイチャーセンター(音更町十勝川温泉)のチーフガイド、相田健志さん(36)は語る。

天然記念物を観察 冬場の貴重な資源
 同センターは十勝川周辺の自然を舞台に、観光客や修学旅行生を相手にアウトドア体験を提供している。冬場はスノーラフティングなど雪に頼ったメニューが中心だが、暖冬の近年は思うように展開できず、野鳥観察を組み合わせた冬場のクルーズは“救世主”のような存在だ。

 クルーズを後押しする同温泉観光協会(林文昭会長)も「オオワシ、オジロワシ、タンチョウの3つの天然記念物を同時に見ることができる温泉地なんて、世界でもここだけ。冬場の貴重な観光資源」と今後に期待する。

 クルーズの定期運航化や、日本野鳥の会会長で俳優の柳生博さんらを招いた「十勝川ワシフェスタ」(19日)開催で貴重な野鳥たちの認知度向上を図る一方、マナーの確立も検討されている。

 クルーズでガイドを務める日本野鳥の会十勝支部(室瀬秋宏支部長)は、特にワシが集まりやすい千代田新水路での観察・撮影について(1)水路内に降りることは厳禁(2)ワシとの最短距離で駐車しない(3)できるだけ車中で観察・撮影する(4)車から降りる場合はできるだけ動かない−などのルールを設け、観光客への啓発を考えている。

 一方、十勝川周辺の一部地域では、タンチョウなど野鳥による農業被害(食害)があるのも実情。2005年には地元の愛鳥家や道内の学識経験者らが、「十勝川自然環境保全基金」を設立。野鳥を目的に訪れた個人や観光客へのツアーに上乗せする形で寄付を募り、地元に還元するのが狙いだ。

関係者連携へ 仕組み作り重要
 室瀬支部長は「今はまだ野鳥、観光、農業などの関係者がばらばらだが、今後はつながっていく仕組み作りが重要。地域経済にメリットが生まれて初めて、ワシたちを資源として守る動きが出て、農業とのあつれきも解決できるようになる」と話す。

 十勝川流域の野鳥を観光資源として地域経済に活用しながら、同時に人間と自然の共存を目指す。その試みは始まったばかりだ。(酒井花)

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