特集
【1票に願う 〜生活者の視点〜】(1)介護
「政権選択」が最大の焦点とされる衆院選(30日投開票)が公示された。介護や年金など生活に直結した課題に関心を示す有権者は多い。十勝に住む人々はどんな思いで選挙に臨むのか。4回にわたって十勝在住者の1票への願いを聞いた。
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「予算ありき」 現場から疑問

市内のデイサービス事業所で職員に見守られながら昼食を楽しむ利用者。利用者の家族は安心して自由な時間を過ごせる(山下僚撮影。写真と本文は関係ありません)
「10年前に母が倒れたのを機に仕事は辞めました。母が家にいる時は常に目が離せず、庭の草取りさえできないのが介護なんです」。帯広市内の自宅で実母(83)を10年間介護している無職女性(60)は、在宅介護の苦労をこう表現する。
脳卒中で右半身にまひが残り、認知症も患う母親の要介護度は5。介護保険で週5日のデイサービスと、1〜2カ月に1回、5日間程度のショートステイを利用している。母親を預けている間に家事をこなせる上、民俗舞踊も楽しんでいる。「介護保険は本当にありがたい。精神的にゆとりができるので、母親の面倒を見る時は優しい気持ちになれる」と穏やかに話す。
一年中休みなし
一方、一家で食品加工業を営む市内の別の女性(56)は「仕事と家事と母の介護で365日休みなし。介護保険は始まって10年近くたつのに、一向に良くならない。それどころか、予算ありきの改正があるたびに悪くなっている」といら立ちを隠さない。
女性は要介護度4の実母(84)を8年間、自宅で介護。保険を目いっぱい利用しても、週4日のデイサービスと月1回、7〜10日間のショートステイの利用が限度で、それ以外の時間の介護の負担が重くのしかかる。「このまま年を取って体力が衰えた時、より多くのサービスを利用できないと経営も家庭もだめになる」と訴える。
2000年にスタートした介護保険制度。高齢者人口の増大に合わせ、給付を抑制する方向での改正が相次いでいる。市内のケアマネジャーらで組織する市介護支援専門員連絡協議会の笠松信幸副会長は「介護の社会化という制度の趣旨に立ち返るべきだ」と指摘。「国がもっと予算を付けて介護の社会化が進めば、家族は親の面倒を見ながらでも仕事を続けられ、趣味にも時間とお金をかけられる。介護事業所の経営や職員の待遇改善、雇用創出にもつながる」と、社会が介護を担うことによる経済効果の大きさを強調する。
「やる気は本気か」
介護は経済の足を引っ張る社会保障にすぎないのか、少子高齢化社会における新たな“産業”なのか。笠松副会長は「『財源は?』と問う政治家は本気で介護をやる気があるのだろうか」と疑問を投げ掛ける。(丹羽恭太)




