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【ここで暮らす 地域の現場から】(3)少ない仕事

2009年08月12日 15時30分

強い地元志向、余力ない受け皿

「生まれ育った町で働きたい」
 「お元気ですか。きょうもよろしくお願いしますね」。足寄町の特別養護老人ホームあゆみ園(浅川清施設長)に勤める本間明日香さん(18)は、笑顔で入所者に声を掛けるのが日課だ。この春、地元の足寄高校を卒業。介護職の臨時職員として採用され、働き始めた。

 準職員で契約上の雇用期間は6カ月だが、「もっと勉強して資格も取得する。生まれ育った町で働きたい」という。同じ高校の先輩で、帯広大谷短大を出て同施設で働く介護福祉士(正職員)の後藤亜弥香さん(20)も「卒業後は地元で就職したい」と故郷に戻った。

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「町内」は3人だけ

入所者に笑顔で語り掛ける本間さん。正職員を目指し、資格取得に向けた勉強にも励んでいる

 しかし、生まれ育った町で仕事に就くのは、実際には希望しても実現は難しいのが地域の現状だ。同校進路指導部長の本多正教諭は「就職を考える子は、最初はみんな町内を希望する。でも、入学時から『町内の就職はない』と話さざるを得ない」と求人状況の厳しい現実を話す。

 同校の今春の町内就職者は、本間さんを含めて3人のみ。就職全体では12人だ。15年前には60人ほどいた。「かつてはそれだけ地域に受け皿があった。今は人口も減り、仕事も限られている」。それでも後藤さんのように、進学組でも、将来は戻りたいと考える生徒は多い。

 十勝教育局の菊池綾乃進路指導員は「十勝は道内でも群を抜いて地元志向が強い」と話す。本多教諭は、農業を軸に比較的元気とされる十勝経済の中で、「十勝の企業は高校生を労働力として大事にしてきた」と感じる。その企業にも、近年は高校生を採用し、育てていくだけの体力がなくなりつつある。帯広公共職業安定所によると、就職希望の高卒者の9割が地元希望だが、求人数は10年前の3分の2にまで減少した。

臨時やパート求人多く労働力流出
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世界不況追い打ち
 さらに、昨年来の世界的不況が、町村の雇用状況に打撃を与えている。「リーマンショック以降、地元中小の求人票がパタッと止まった」と池田高校進路指導部の古瀬径二部長。7月解禁の今年の求人も前年同期の6割程度で「企業の採用計画が止まっている」という。

 むろん、厳しさは高卒者だけにとどまらない。国は昨秋以降、自治体に次々と交付金を出し、雇用拡大を呼び掛けるが、管内の建設関係者からは「もう何年も町村は仕事が少なく、労働者は定期雇用を求め、既に都市部に出てしまっている」との嘆きも聞かれる。職安の一般求人もパートや臨時、もしくは専門職が多い。地域で常用雇用を見つけるのは簡単ではない。

 生まれ育った土地で働き、暮らしたい。そんな当たり前の願いがかなわない。希望をかなえた本間さんと後藤さんは言う。「地元の特養なので、足寄出身者が多く、話が分かる。地元で仕事ができて良かった」−。
(小林祐己)

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