特集
【ここで暮らす 地域の現場から】(2)消える高校
2009年08月11日 15時49分
薄れる世代間交流、地域の活力

「交通費だけで年間10万円以上。今までなかったものだけに、楽ではない。息子が好きな部活で、生き生きと頑張っている姿が励みです」
長男を隣町の池田高校(1年)に通わせる浦幌町の主婦、中村妙子さん(44)は優しく笑う。3人の子供のうち、姉2人は徒歩で浦幌高に自宅から通い、同級生もよく遊びに来た。地域の子供が一緒に育っていくのを見守るのが楽しかったが、それも次女(3年)の代で最後だ。
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失われる選択肢

浦幌高最後の学校祭で行われた提燈(ちょうちん)行列(7月)。閉校は地域にどんな影響をもたらすのか…
列車通学には当然、時間がかかり、アルバイトもままならない。「地元で、親に負担をかけずに学びたい」−。そんな選択肢も失われる。
町中心市街地にある新聞販売店では、一時は20人以上の浦幌高生がアルバイトをしていたが、現在は3年生が1人だけ。家計を助けながら勉強や部活に励む生徒たちと、親子のように交流を続けてきた経営者の桑原瀧子さん(63)は、寂しさを隠さない。「地元に高校がなくなれば、世代間交流の場も減る。大人と高校生の距離が広がってしまう」と心配する。
一方で、都市部の有名高校への志向性が強いという現実が十勝でもある。中でも浦幌はJR線沿いということもあり、以前から帯広・池田へ子供を通わせる傾向が強かった。浦幌高最後の卒業生となる現3年生は14人で、2006年度に浦幌中を卒業した生徒(47人)の3分の1にも満たない。帯広への通学が比較的便利な中札内も同様で、中札内高(07年度で閉校)最後の学年は22人、村内からの同校進学は約3割だった。
高校卒業後の地元での就職口(定職)は減る一方。高校段階で離れれば、“まちの一員”としての意識が薄れ、そのまま戻らないケースが多い。結果、地域の活力を生む若い力が流出していく。
地方でも充実した教育は「国の役割」
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生徒確保に懸命
少子化を背景にした道立高再編が続く中、こうした状況に、管内の各町村は危機感を強め、生徒確保に懸命だ。鹿追では小中高一貫教育などで、中学生の今年度町内進学率が約8割に。本別は隣町からの新たな通学ルート開拓などに努め、新得では、町外から通う新得高生に夏・冬休みを除く通学費10カ月分の全額補助をしている。
だが、こうした措置も町村自体の負担が大きく、厳しい財政の中、どこまで続けられるかは未知数。浦幌高の米沢慎二教諭(50)は「地方に住んでいても、充実した教育を受けられるようにするのは本来、国の役割ではないのか」とつぶやく。
(大笹健郎)
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