特集
【衆院選・十勝の争点】(上)農業政策
衆院選(18日公示、30日投開票)・十勝の争点で、「農業」「景気・雇用」「自治体財政」の3点に絞り、地域の反応を探った。
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急ピッチで進む秋まき小麦の収穫。自民の現行制度か民主の新制度か、風になびく小麦の穂のように農家の心は揺らいでいる
不満と不安のせめぎ合い
「十勝の基幹産業・農業を壊滅させるつもりはない」
5日夜、帯広市内で開かれた民主党の農業マニフェスト(政権公約)説明会。同党前衆院議員の石川知裕氏はFTA(自由貿易協定)について、真意が的確に伝わっていないと理解を求めた。
波紋広げた「FTA締結」
全23ページからなるマニフェストに、わずか2行だけ盛り込まれた「米国とのFTA締結」。これは予想以上に農業界に波紋を広げた。「寝た子を起こした」。管内農業団体の幹部は、農家感情を代弁してこう漏らした。
小麦、砂糖(ビート)、乳製品−。十勝の主要農畜産物は、ほぼすべてが関税障壁という“防波堤”で安価な輸入農畜産物との国際競争から守られている。原則関税撤廃のFTAが米国と締結されれば、農業を柱とする十勝経済は崩壊しかねない。
民主党は国内農家の猛反発を受け内容修正を決めたが、5日の説明会の参加者からは「中央は慎重さが足りない」と厳しい注文を受けた。
農業を基幹産業とする十勝では、農業政策が衆院選の最大争点の1つ。国際協定の問題で民主はつまずいたが、根本となる経営安定対策をめぐっては、与党・自民も生産者の評価は気になるところだ。
「戦後農政の大改革」とされた水田・畑作経営所得安定対策(旧称・品目横断的経営安定対策、2007年導入)。WTO(世界貿易機関)ルールに則し、国内生産を高める施策を減らしたことが「努力しても報われない」との不満を招いた。
天候不順で減収が見込まれる今年、対象となる畑作物で一定の所得が補償される仕組みに「導入後初めて制度のありがたみが実感できる」と、自民支持のJA組合長らは口をそろえる。
自給率向上と矛盾する制度
半面、「生産性を伸ばしても報われず自給率向上と矛盾する」(十勝中部の畑作農家)との指摘はくすぶる。JAグループ北海道では努力が反映される仕組みとなるよう、過去の生産実績に基づく「固定払い」の基準年の見直しを要請しているが、実現のめどは立っていない。
民主が掲げる「農業者戸別所得補償制度」は生産費と販売価格の差(赤字分)を補てんし、大豆や小麦など自給率の低い作物生産への「インセンティブ」を付与する内容。ただ5日の説明会では「来年度中に制度設計を行う」としており、自民党・中川昭一氏のサイドに「本州の兼業農家も手厚く保護するばらまき」と、厳しく批判する余地を与えている。
長年続いた自民農政への「不満」と明確な姿がみえない民主農政への「不安」。国際交渉の行方も見越し、帯広市内のある農家は語る。「自民農政に十勝は守られてきたが所得が向上しない現行制度には不満が強い。しかし、聞こえの良い民主の政策も国際ルールの中で通用するのだろうか」
(衆院選取材班)
- 【衆院選・十勝の争点】(下)分権・財政(2009/08/08)
- 【衆院選・十勝の争点】(中)景気・雇用(2009/08/07)



