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【年間キャンペーン とかち農立主義】 動きだした農商工連携− 4
2009年07月31日 14時50分

長年取引があり、家も隣同士の杉山社長(右)と伊藤さん。強固な信頼関係が半焼成パン開発の原動力となっている

欧米技術に十勝の恵み
品質維持し本州流通も
「店舗外の供給先で、焼きたての味を提供できるのがパーベイク(半焼成=はんしょうせい)パン。地元のみならず、十勝以外の地域に商品を供給する足掛かりにもしたい」。製パン業「満寿屋商店」(本社・帯広)の杉山雅則社長(33)は、新事業として商品開発した半焼成パンで販路拡大の構想を描く。
半焼成パンは8−9割を焼き上げた状態で保存。残りの1−2割を食べる直前に10−20分程度焼くだけで、出来たてを味わえるのが特徴だ。同社は2007年度から市食産業振興協議会(事務局・市産業連携室)の地場産小麦付加価値向上の一環として本格的な試作を重ねた。
地場小麦にこだわり
使う小麦は十勝産にこだわるため、同社は帯広市富士町の畑作農家伊藤弦輝さん(46)と契約。中小企業基盤整備機構の坪井真一プロジェクトマネジャー(43)、道中小企業総合支援センターの浜田敏道東支所長(50)、山本一成応援コーディネーター(56)の支援を得て、7月上旬、同社と伊藤さんが共同申請した取り組みが、国の農商工等連携促進法に基づく事業計画の認定を受けた。
最大の強みは品質を維持したまま長期保存、流通できる点だ。冷凍状態で6カ月から1年も保存可能。廃棄が少なく、在庫の管理負担も軽減される。賞味期限の問題でこれまで供給できなかった本州にも販路を見込めるわけだ。
当面は自社店舗やレストラン、管内取引先のホテルに供給。量産が見込めれば、首都圏の「カフェベーカリー」を中心に業務用市場の開拓を目指す。4年間で同社は約1.2億円、伊藤さんは約700万円の売り上げ増を計画する。
輸入品に切り込み
道産原料へのこだわりで生産履歴が明確なため安全安心を確保でき、輸入品より国内消費者の嗜好(しこう)に合った商品化が可能という優位性もある。
半焼成パンの技術は元来、欧米の製造法で、国内冷凍パン生地市場規模1414億円(07年度)のうち、9.2%に当たる130億円がパーベイクを含む輸入冷凍生地と推計される。輸入品が増加する中、製法分析などで十勝圏地域食品加工技術センターの支援を受け、バターなど十勝産を使用したフランスパン、クロワッサン、コーンパンなどの商品化で切り込みを狙う。
ただ、主原料となる十勝産の強力系小麦の安定的確保が課題だ。十勝で生産される9割がめん用の中力系「ホクシン」。伊藤さんの畑では、パン用のブランド品種「ハルユタカ」を2ヘクタール、新品種「キタノカオリ」を8ヘクタール栽培しており、将来的には作付面積の拡大も図る。伊藤さんは「十勝産は道央圏より黄色みが強く、パンの焼き色がきれい」と品質に胸を張る。
杉山社長は「十勝産小麦を最も多く使う企業になり、加工業者が生産者と消費者の橋渡し役を担えれば」と意気込みを語る。欧米の技術に十勝の恵みと加工業者、生産者の思いが融合した十勝独自の半焼成パン。「和魂洋才」の発想が“外貨”獲得につながるか、新たな挑戦が始まっている。
(中津川甫)
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