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【「記憶」 十勝毎日新聞創刊90周年記念企画】 シリーズ1-食-(5)

2009年05月05日 12時01分

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昨年10月、直彦さんと妻のカヨさん(75歳、左)は引退。東店は柳子さん(右)が継いだ

■中華ちらし あじ福
一度消えかけた賄い料理
仲間の要望でメニューに


 「たかが野菜いためだからこそ難しい。作り手が変われば味は大きく変わる」

 十勝管内の中華料理店やラーメン店に固有のメニュー「中華ちらし」。最近はテレビでも取り上げられ、注目が高まっている。生みの親で「あじ福 東店」(帯広市東4南7)の元店主・池田直彦さん(81)は「なぜここまで広まったのか分からない」と首をかしげながらも、料理人としてのプライドをのぞかせる。

 モヤシやタマネギ、ハクサイなど数種類の野菜と豚肉、卵、魚介類などをいため、砂糖としょうゆなどで味付けしてご飯にかける。この素朴なメニューは、池田さんが1960年代に勤めていた「割烹(かっぽう)松竹」(同市西3南9)の厨房(ちゅうぼう)で生まれた。池田さんが賄い料理として作ったのが始まり。忙しく働く従業員の間で、早くてうまくてボリュームがあると人気を呼んだ。

 池田さんは、松竹が71年に火災に遭ったのを機に独立、「味福」を開店。中華ちらしは当初のメニューになく、そこで途絶えていた可能性もあったという。メニューに加えたのは「松竹の姉さん方(女性従業員)が店に来た時に食べたがったから」と池田さん。

みなみ野店で腕を振るう苫英智さん

 かつての仲間の要望で復活した味は今、「あじ福 みなみ野店」(同市南の森2)を切り盛りする長男・苫英智(とまえち)さん(51)と、東店の次女・柳子さん(48)に受け継がれている。松竹や味福出身の料理人の店にも広がっているが、池田さんは「味福元来の味ではない。でも、それぞれ味が違うからこそ料理として面白い」と目を細める。
(丹羽恭太)

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