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「絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡」対談◆中

2009年02月20日 13時18分

競合し互いに芸術性を追求
戸張氏 写真発明から終わりまで一目
瀧川氏 印象派の華やかな一時代構築

ナダールの「ヴィクトル・ユゴーの肖像」について語る戸張さん

 瀧川 今の時代では、絵画と写真は別の分野という認識があるが、当時、肖像写真が誕生したときには有名な画家のアングルさえも、フランス政府に写真をやめさせるように訴えたという。それほど写真と絵画は激しく「交差」していた。当時の絵画の世界、画家たちの生活を考えると、その気持ちが分からないでもない。

 戸張 ナダールの「ヴィクトル・ユゴーの肖像」はモデルの表情や右腕のポーズ、ひげや髪の毛の繊細さ、服の質感など、現在でも引けをとらないばかりではなく、かなり優れた作品といえるのではないか。逆に絵画のポーズを参考にして撮影したと思われる。この写真は肖像画を描いていた多くの画家たちに少なからず衝撃を与えたに違いない。しかし、また写真家たちも当時の画家が描くモチーフや構図を模倣していたことがうかがえる。

 瀧川 かといって、絵画は滅びたのかというと決してそういうことはなかった。逆に光が強調される写真を利用して新しい絵画の境地を開拓し、「印象派」と呼ばれる絵画の世界にとって華やかな一時代を築き上げた。抗議したアングルでさえも、写真を利用して絵を描いていたといわれている。
 写真は絵画を刺激し、絵画と競合しながら互いに芸術性を追求し、絵画の世界はゴッホやセザンヌといった「後期印象派」の画家を生み出した。写真と絵画は交差しながら結果的に別々の道をたどり、それぞれが発展していった。

 戸張 会場の最後の方には杉本博司の「インペリアル・モントリオール」のほか、柴田敏雄、佐藤時啓ら、世界的に有名な日本人写真家の作品が並んでいる。杉本博司はデジタルカメラ全盛の現在を「正統派銀鉛写真は終焉(しゅうえん)した」と雑誌インタビューで話している。彼の作品は大型カメラで映画の上映時間中シャッターを開け続けて撮影した作品。8000分の1でシャッターが切れる現代において、時代を逆行する手法は確固たるコンセプトとテクニックの裏付けがあって成り立っている。
 今回の展覧会は発明から終わりまで、写真のすべてを見ることができると同時に、これからの写真が原点に何を求めているのかを考えさせられる。

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