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【絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡】 作品紹介(5)

2009年02月07日 14時55分

「睡蓮」 クロード・モネ
移り変わる美しい光のありさま

「睡蓮」 クロード・モネ 1908年 油彩、カンヴァス 東京富士美術館蔵

 19世紀に相次いで誕生した写真と印象派絵画。それは方法こそ違え、ともに光の働きに着目しながら、目に映る現実の世界を、ありのままにとらえようとしました。

 こちらは印象派の中心画家モネの作品です。モネは後半生、パリを離れ、ノルマンディー地方の小村ジヴェルニーに自宅を構えました。造園家としても並々ならぬ腕をもっていたモネは、この家の庭園に情熱を注ぎます。木々や草花を整え、池を作ってそこに睡蓮を植え込みました。モネの代表作ともいえる睡蓮連作は、その景色を繰り返し描いたものです。

 大気をおおう陽光のきらめき、さまざまな表情を見せる水面の反射光、映り込む周囲の景色、そして可憐に咲き誇る睡蓮の花。この連作は、時々刻々と移り変わる光のありさまを、カンヴァスにとどめようと試みたものです。

 近代絵画の父と呼ばれるセザンヌは、先輩であるモネについて次のように語ったといいます。「モネは1つの眼に過ぎない、しかしなんと素晴らしい眼であろうか」セザンヌは形態と構図こそ絵画の重要な要素と考え、人物や静物、風景を画面のうちに再構成しました。

 堅牢ともいえるセザンヌの画風からすれば、全ての対象が光のうちに溶け込んでしまうモネの作風は、あいまいで避けるべきものでした。しかしそのセザンヌですら、美しい光があふれるモネの作品を賞賛せずにはいられなかったのです。
(道立帯広美術館学芸課長 鎌田享)(おわり)

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