特集
【絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡】 作品紹介(3)
2009年02月05日 15時03分
「水平線上のスコール」 ギュスターヴ・クールベ
一瞬切り取る写真からひらめき

「水平線上のスコール」 ギュスターヴ・クールベ
1872−73年 油彩、カンヴァス 東京富士美術館蔵

写真は人々に、これまで見たことのないリアルな画像を提示しました。そしてさらに、流れる時間の一瞬を切り取っていきます。馬の脚の動き、鳥の翼の羽ばたきなど、人間の眼ではとらえきれない瞬間の像を、目にすることができるようになったのです。
こちらは19世紀フランスを代表する画家クールベの作品。海岸に激しく打ち寄せる波が、分厚い絵の具の盛り上がりによってボリューム豊かに描かれています。瞬時に崩れてしまう波。この作品を描くにあたってクールベは、写真の画像を参照したともいいます。
写実主義の父と呼ばれるクールベ。神話や宗教、伝説上の出来事を描くことが一般的だった19世紀にあって、彼は目の前に広がる現実の世界を執ように描き続けます。そんなクールベに、発明まもない写真はインスピレーションを与えました。そして自らの見た世界のみを描いたその取り組みは、目に映る光に着目した印象派へとつながっていきます。
(道立帯広美術館学芸課長 鎌田享)
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