このページは十勝毎日新聞に掲載された
記事をもとに掲載・再構成しています。
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【2002年8月22日紙面 より】

ジャーナリストが見たデメーテル…上
「グローバル」につながる「ローカル」な国際展



文化イベントで“まちおこし”
 「とかち国際現代アート展・デメーテル」が、その名のとおり国際的な現代美術展であるのは、参加アーティストがいずれも国際的に活躍しているからというだけではない。なにより「デメーテル」の目指す方向性や問題意識が、きわめて今日的でグローバルであるからだ。
 国際美術展はここ数年の間に世界各地で急増し、その数は20を超える。だが、その目的や役割は一様ではない。例えば、国際展の“老舗”であるヴェネツィア・ビエンナーレは、世界中から観光客が集まるヴェネツィアで開かれるため、黙っていても人が入る。言ってみればこのビエンナーレは2年に1度の「おまつり」なのだ。
 それに対して、もう1の国際展の雄・ドクメンタを主催するドイツ・カッセルは、とりたてて観光資源も産業もない都市。だからこそ人を呼べるような文化イベントが必要とされ、先鋭的な現代美術展が行われるようになった。その意味で、カッセルにとってドクメンタは一種の「まちおこし」の役割を果 たしている。
 近年、国際展の多くはこうした「まちおこし」の一環として開かれており、カッセル市と帯広の商工会議所が姉妹提携を結ぶ帯広の「デメーテル」も例外ではない。ただし、いきなり国際展を開いたからといって人が集まるわけではない。とくに帯広は日本の中心から遠く離れ、新しく開拓された地。地理的にも歴史的にも国際展の開催には不利な条件だ。
 だが見方を変えれば、ここは屯田兵ではなく民間人が入植して切り開いた土地であり、それ以前はアイヌ民族が先住していたというから、ある意味で「移民・難民」「脱植民地主義」といったグローバルな問題をはらんでいる。つまり帯広は、「ローカル」が「グローバル」に転換する可能性を秘めた場所なのだ。
 さらに特筆すべきは、展覧会場として競馬場が使われるということ。このような「脱美術館」の志向もきわめて今日的な方向性を示している。次回から、十勝・帯広・競馬場といった場所と密接にかかわる作品を見ていくことにしよう。

「とかち国際現代アート展・デメーテル」について、国内外で活躍する美術ジャーナリスト・村田真氏が解説・批評する。3回連載。


村田真(むらた・まこと)美術ジャーナリスト。1977年東京造形大学絵画専攻科卒。同年4月から雑誌「ぴあ」編集部勤務を経て、84年にフリーランスの美術評論家として独立。現在は東京芸術大学非常講師を務める傍ら、読売年鑑「美術」欄、毎日新聞、アエラ、美術手帖などで国内外の美術活動を題材に多数執筆をしている。

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