ばん馬改良の祖…受け継がれる血統
体重1トン以上にもなる世界一の力持ちの馬「ばん馬」は、馬産王国・十勝を中心にした品種改良の努力の成果だ。その祖となる種馬イレネー(威烈寧)号がフランスから十勝に導入され今年で100年になる。気は優しくて大きくて力持ちの血統は、ばんえい十勝の名馬に受け継がれ、14日に帯広競馬場で開かれる最強新馬決定戦の重賞レース「第41回イレネー記念」出走予定の3歳馬の中にもイレネー号の優秀な子孫2頭がいる。
帯広競馬場入り口に立つイレネー号の銅像。馬着をまとって記念重賞レースの日を待つ
あす記念の重賞 優秀な子孫2頭も出走
約10年前からホームページ「私設ばんえい競馬資料館」
(http://homepage1.nifty.com/riki-midori/)を運営、ばん馬の血統を丹念に調べている札幌の団体職員(図書館司書)高野直樹さん(39)は「より優れた馬に改良されてきたのはこの100年間の十勝を中心にした人々の努力の成果。この優秀な血統は、競馬の存続で守っていかなければ」と強調する。
イレネー号は1908年(明治41年)フランス生まれのペルシュロン種。10年(同43年)、日本に輸入され、同年開設の内閣馬政局管轄の「種馬牧場」(現在の家畜改良センター十勝牧場・音更町)で種馬になった。当時としては大きな馬で人々の目を引いた。18年間もの長い間の種付けで597頭の産駒を出し、明治−大正−昭和に子孫が繁栄した偉大な種牡馬だ。
イレネー号の優秀な子孫で記念重賞に出走予定のホクショウバトル号
高野さんの調査によると、イレネー号の血統を継ぐばんえい十勝の名馬は、初の1億円馬で史上最強のキンタロー号(77〜92年)、現役オープン馬ではトモエパワー号(牡10歳)、フクイズミ号(牝9歳)がスターホースとして活躍、今回のイレネー記念にもホクショウバトル号(牡3歳)、テンマデトドケ号(同)が出走予定だ。
高野さんは「もし競馬がなくなればこの血統も途絶える」と存続を訴え、携帯電話サイト「かちモバ」で予想を担当する小寺雄司さんも「この20年ほどの間で、ばんえい競馬も血統が重視されるようになった。新生競馬で帯広1カ所の開催になってから、スピード性重視の馬作りが求められ、さらに血統が大事になっている」と改良を重ねる生産者・競馬関係者の努力に注目している。(横田光俊)